研究課題/領域番号 |
16K03640
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
坂西 明子 立命館大学, 政策科学部, 教授 (00316085)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 労働力率 / 女性就業 / 地域労働 |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究では、主に以下の内容について、取り組んだ。第一に、1日の時間配分の観点から、女性の就業の意思決定がどのようになされるかを説明する理論モデルを構築し、ミクロデータを使った実証分析を行った。有配偶者で年齢の低い子どもがいる場合には、女性就業に有意に影響を与えることが示された。同居の母親がいる場合には、有意に就業状態に影響を及ぼすことがわかり、地域の保育支援が女性就業の決定要因として重要であることが示唆される。第二に、女性労働力率の決定要因について、市区町村単位のデータを用いて、近接した市区町村同士が相互に影響し合うという、空間的自己相関に関する検定を行い、空間誤差モデルを採用した分析を行った。その研究成果を、平成30年12月に行われた、経済統計学会関西支部12月例会で発表した。参加者から得られたコメントを参考にして、分析と論文の修正を進めた。第三に、データ分析の結果に基づき、北陸の女性労働力率の高い地域を抽出して、女性の就業実態の詳細と雇用政策の取り組みを調べた。女性就業の政策的課題と実施されている政策の詳細について複数の地方自治体へのヒアリングを行い、女性就業の地域差を縮小するための政策的なインプリケーションを、特に育児と就業の両立支援策、就業のミスマッチの改善の視点から検討した。現在、修正を行っている途中の論文があり、平成31年(令和元年)度の研究では引き続き、平成30年度の研究を活かしながら、データ分析と論文の出版に向けて取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文の執筆、修正等の研究自体は支障がない程度に進んでいる。平成30年度の研究過程で、データの分析をさらに追加して、もう1年当該研究課題の研究を行うことで、女性労働力率の地域差の変化の考察を深化させる事を思い至った。研究課題に関するより精緻な分析や調査の追加を行い、その成果発表を含め、補助事業の目的を十分に達成するために、1年間研究期間を延長することが承認され、決定した。研究期間延長により研究を深めることで、研究課題の期間全体としての成果を十分に残すよう、平成31年(令和元年)度にも、計画的に研究の進捗を図ることとする。また、平成30年度に修正中の論文があり、次年度の研究で刊行するように研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年(令和元年)度には、以下の研究を推進することを予定する。 アメリカ経済学会2018年年次大会(The 2018 American Economic Association Annual Meeting)で、当該研究課題に関わる内容を過去に発表した。その中で、参加者の海外の研究者から女性就業の決定要因についての理論モデルに関して得られたコメントを参考にして、平成30年度に研究を進めてきたが、引き続き平成31年度にも追加の分析を行い、補助事業全体としての研究目的を十分に達成できるように取り組む。 そして、国内外のデータを用いて、女性の労働参加の決定要因と労働力率の地域差を説明する要因についての実証分析を行った論文を発表する。平成30年度に行った、労働力率の高い地域の自治体への女性就業の実態と雇用政策のヒアリング調査の成果も活かしながら、国内の女性労働力率の地域差を縮小し、女性就業を促進するための政策的インプリケーションを明確にした発表ができるように、最終年度の研究をまとめる。 研究期間の最終年度となる平成31年度にも、国内外の学会での成果報告、論文の投稿などを行い、科研費の成果の発表を進める予定である。最終年次の平成31年度には、過年度分の成果をも踏まえ、研究成果報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の研究において、予定していた英語論文の校閲の一部を、論文の修正ならびに研究内容の追加等の事情があり、平成31年度に行うこととした。また、研究発表のための旅費、分析にかかるソフトウェア、論文の投稿費用、掲載費用についても、研究内容の追加等に鑑みて、一部を平成31年(令和元年)度に利用して研究を実施し、本補助事業の研究を完了することを計画している。
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