研究課題
2019年度には第一に、前年度から継続して、女性の就業状況について、頭数でみた就業人口、就業率だけでなく、就業時間の観点を含めて女性就業の決定因の分析を深めた。2018年アメリカ経済学会年次大会(The 2018 American Economic Association Annual Meeting)で発表を行い、その後Regional Science Policy & Practice誌に投稿していた論文が査読を経て採択され、刊行された。有子の有配偶女性の労働参加を増やしワークライフバランスを改善するためには、家事育児の制約、通勤の制約を減らすような公共交通の改善が特に郊外で重要であり、それにより地域間の労働市場の不均衡が是正されることを示した。第二に、日本の女性労働力率の地域差と空間分布の変化について分析を行った。2000年に生産年齢人口女性労働力率が低い市区町村ほど、2000~2015年の15年間にその上昇率が大きいという強い負の相関が得られた。しかし、人口集積の高い大都市圏で女性労働力率が低い地域が地理的に集中するという構造が両年で見られる。日本の女性労働力率(15歳以上)は高齢化によりほぼ横ばいである中で、生産年齢人口の女性労働力率の地域差を縮小することは日本全体としての女性労働力率を上げるためにも極めて重要である。研究成果は、International Journal of Economic Policy Studies誌に査読を経て、掲載されることが決まった。2016~2019年度の補助事業期間全体としては、①日米のデータを用いた女性就業の地域差の決定因の分析、②日本の女性労働力率の地域差とその変化の要因の考察、③日本の市区町村データを用いた女性労働力率の空間分析を行い、科研の研究目的に照らして4年間の研究期間に概ね期待された通りの研究成果が得られた。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
International Journal of Economic Policy Studies
巻: Volume 14, Issue 2 ページ: Forthcoming
Regional Science Policy and Practice
巻: Volume 12, Issue 2 ページ: 349-363
10.1111/rsp3.12261