本研究の目的は、企業と地方政府との関係が金融の発展と企業の行動に与える影響を実証的に考察することである。その分析結果は以下である。 経済発展水準が低い中国計画経済では資源配分システムが十分に機能しないため、国有企業と地方政府の関係を基礎とした裁量を持つ経済活動は有効であった。改革開放期の企業と地方政府との関係は、非効率な国有企業への資金配分を可能にするケースが見られ、経済の発展水準が低い時期での地方政府の経済介入は有効性もみられるが、特に近年では地方政府の経済介入が非効率性を生み出しており、市場経済の発達に伴い地方政府に依存しない企業行動、金融を通じた資金配分が重要であることが示された。
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