研究実績の概要 |
中国の環境・廃棄物統計資料を精査した結果、中国環境統計年鑑を始めとする資料から、産業別の廃棄物排出量とリサイクル率が得られることがわかった。また、中国投入産出学会や河北省投入産出学会の主要メンバーへのヒアリングから、二酸化炭素排出量に関する情報はIPCCへの報告書とエネルギー消費量の統計資料から二次的に推計している点など、文書化・公表化されていない環境統計に関連する情報を得ることができた。多地域間廃棄物産業連関表のベースとなる多地域間産業連関表については、アジア国際産業連関表(JETRO, 2013)、ICIO(OECD-WTO, 2013)、GTAP(Narayanan et al., 2012)、EXIOPOL(Tukker, 2009)、WIOD(Dietzenbacher et al., 2013)、Eora(Lenzen et al., 2013) といった各プロジェクトを比較した結果、推計作業における計算機負荷や普及の度合いを考慮の上、WIODを採用することとした。その上で、どのような課題が考えうるか検討を行った。また、研究成果としては、多国間が関わる貿易活動の一部である観光の影響に注目し、台湾・韓国・中国からの訪問客が日本の京都での観光に伴う経済及び環境への影響で推計し、学術論文として成果発表を行った。その結果、日本政府のVISIT JAPAN政策の推進により2000年から2014年にかけて観光需要が大幅に伸びると共に環境負荷も増大した。負荷軽減のためには食品リサイクルによる廃棄物の軽減や、電力、輸送の脱炭素化による温暖化ガス排出量の削減が有効であることが示された。
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