研究課題/領域番号 |
16K03654
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大東 一郎 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (30245625)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 再生可能資源 / オープンアクセス / 二重経済 / 都市失業 / 資源財輸出税 |
研究実績の概要 |
小国開放ハリス・トダロ(HT)経済について“sustainable yield”を導入した静学モデル(1)の論文は、昨年度までに国内外の学会、セミナー、ワークショップ等で発表してコメントを得ていた。2019年度は、それらを取り入れて原稿を改訂し、国際的な学術雑誌への投稿を行った。査読レポートを元に、共同研究者と注意深く議論を進め、分析を追加したり、さらなる改訂を行った。その成果を、新たなワーキングペーパー(University of Hawai'i Depertment of Economics Working Paper Series)にまとめ、現在も国際的な学術雑誌での査読結果を待っている。 本論文は、環境と開発の相互作用を中心テーマとしているため、環境経済学、開発経済学の専門雑誌においては、読者の関心に合わない恐れがあるという評価を受けて掲載不可とされることが判明してきた。そこで、環境と開発の相互作用を重要な問題と考えてくれる可能性の高い学術雑誌に、投稿し直すこととした。ただし、分析方法や結果、議論の内容への批判は受けていないため、中心となる内容は変わっていない。 農村都市間人口移動と資源ストックの変化が同時に起きる動学モデル(2)については、導かれた分析結果と現実経済との対応の付け方を注意深く検討しながら、共同研究者と議論を重ねた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小国開放ハリス・トダロ(HT)経済の静学モデル(1)の論文を、環境経済学や開発経済学の国際的な学術雑誌に投稿してきた。だが、読者層の関心に合わない恐れがあるとの理由で掲載不可とされるケースが複数回生じた。内容への批判は受けていないので、環境と開発との相互関係の重要性に理解の深いと思われる学術雑誌に投稿することとした。共同研究者と面談してそれに合わせた改訂も行い、投稿して、査読結果を持っている段階である。 動学モデル(2)の共同研究者との議論は、現実経済問題への有益な論点として何を取り上げるべきかについて意見が収束していない。モデルの分析結果は多面的に理解ができるようであるから、さらに議論を深める意義はあるであろう。
|
今後の研究の推進方策 |
小国開放ハリス・トダロ(HT)経済の静学モデル(1)の論文については、今後出される予定の学術雑誌からの査読レポートの要請にしたがって改訂を行い、掲載を実現するよう努力を継続する。 動学モデル(2)の論文については、共同研究者との議論を継続する。もし意見が収束しないようであれば、共同研究者の同意を得たうえで単著の論文としてまとめる可能性も視野に入れる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたハワイ大学での研究会合について、現地ハワイの共同研究者より新型コロナウィルスの影響で会合延期の申し入れがあったため、出張を中止せざるを得なくなった。研究期間を1年延長することにより改めて研究会合を再調整して、研究を引き続き遂行していきたい。
|