今年度の分析は以下のように行われた。分析は以下の通りである。モデルは生産関数によっている。生産関数はコブ・ダグラス生産関数を用いている。生産関数の使用に関しては、近年重要度が増している、いわゆる内生性に関して十分な考慮がされた分析をおこなった。規制のデータに関してはRIETIのJIPデータベースのデータを使用した。このデータは規制ウェイトとも呼ばれるが、産業別のデータである。現在の産業のさらに詳しい産業分類において規制の対象となっている分類の産業の付加価値の現在の産業の付加価値とのシェアになっている。したがって現在の産業のより詳しい産業分類の産業すべてが規制の対象となっていればその値は1である。またどの産業も規制の対象となっていなければその値は0である。値が大きいほど規制の強度が強いと考えられる。 このデータを生産関数の説明変数の一つとして生産関数に組み込んで生産関数を推定した。生産関数のモデルは何種類かあるが、ほぼすべての推定式で規制の変数は理論的に正しい係数で有意なパラメータをえることができなかった。したがって規制緩和の効果を検証することはできなかった。そこで次にまず第1段階で生産関数だけを推定して、第2段階では、第1段階の推定で得られたパラメータからTFPおよびTFP成長率を計算してもとめ、そのTFP もしくわTFP成長率に規制の変数を回帰させるという分析をおこなった。そこでは説明変数が規制の変数だけの単回帰においては規制緩和がTFPの上昇に貢献したという結果が有意に得られたが、TFP成長率に関しては規制緩和がその上昇に貢献したという結果が得られなかった。また同様のTFPに関しての規制の変数のモデルをパネル制定で行った。しかしながら規制緩和がTFPまたはTFP成長率の上昇に貢献しているという結果は得られなかった。
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