研究課題/領域番号 |
16K03662
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
本間 聡 東海大学, 政治経済学部, 教授 (70368869)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 確率フロンティア分析 / エネルギー効率 / メタフロンティア / 包絡分析法 |
研究実績の概要 |
産業別に付加価値、労働、資本ストック、エネルギー消費量が統一的に整備されたWorld Input-Output Database(WIOD)のデータを使用して、以下の分析を行った。技術の違いを考慮した確率フロンティア分析を40か国34部門に適用してエネルギー効率とその決定要因を分析した。技術の違いを考慮するために、40か国をOld EU(イギリス、フランスなど)、New EU(ブルガリア、ポーランドなど)、EU以外の先進国(アメリカ、日本など)、New EU以外の新興国(インド、中国など)の4グループに分類した。コブダグラス型生産関数に基づく距離関数を用いて推定した。エネルギー効率に影響を与える変数として、1人当たり所得、貿易開放度、人的資本指数、民主主義度指数をとった。分析の結果、各グループのエネルギー効率評価を表すgroup total-factor energy efficiencyは1人当たり所得に関して環境クズネッツ曲線仮説に従う結果を示した。すなわち、所得の上昇とともにエネルギー効率はいったん低下するが、その後上昇に転じる。また、民主主義の浸透は技術格差の減少に寄与することがわかった。以上の内容は、シンガポールで平成29年8月に開催された国際学会The 7th Congress of the East Asian Association of Environmental and Resource Economics (EAAERE)で“International Comparison of Industry-level Total-factor Energy Efficiency:A Meta Stochastic Frontier Approach”として報告した。同内容は国際学術雑誌への投稿に向けて改訂中である。副次的な産物として、上述のWIODのデータを使用して、貿易収支の不均衡に影響を受けずに国際貿易が各国の二酸化炭素排出に与える影響を評価するPollution Terms of Trade(PTT)を計算し、PTTの収束が生じていることを実証分析で示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に研究予定であった国際比較可能な産業レベルデータを用いた実証分析に関しては、平成29年度にデータ構築と分析を終えて、上述のように国際学会で発表し、論文を改訂中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度も引き続き国内外の学会で研究報告を行う予定である。国別と国際比較可能な産業別のそれぞれの実証分析に関して論文を完成させ、ディスカッションペーパーとして刊行し、国際学術雑誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が発生した理由としては、共同研究者との打ち合わせの回数がスケジュールの関係上想定よりも少なくなったことや国際学会の参加費や旅費が想定していたよりも少ない金額で済んだことがあげられる。
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