確率フロンティア分析を適用してエネルギー効率を評価した。その際、多くの先行研究とは異なって、各経済主体が利用可能な技術の違いを考慮した。具体的には、サンプルの国あるいは地域をグループに分け、まず各グループ内の国あるいは地域に関してエネルギー効率を評価した。得られた値をグループ全要素エネルギー効率とする。これは、同一グループ内で利用可能な技術に基づく生産フロンティアで評価された効率性である。 次に、このエネルギー非効率が解消された場合のエネルギー投入を前提に全サンプルで評価したエネルギー効率を評価した。ここで得られた値をtechnology gap ratio(TGR)とよぶことにする。これは、直観的には、当該国・地域に関して測定された、各グループ内で利用可能な技術に基づく生産フロンティアと全グループで利用可能な技術に基づく生産フロンティア(メタ生産フロンティア)の距離を意味する。 最後に、メタフロンティア全要素エネルギー効率をグループ全要素エネルギー効率とTGRの績によって算出した。これは、エネルギー非効率が、国・地域・産業内部に帰せられる非効率と外部環境による制約に帰せられる非効率とに分解可能であることを示す。 以上のエネルギー評価のアプローチを、国別・産業別のサンプルと都道府県別のサンプルのそれぞれに適用した。前者ではサンプルの40か国をOld EU(イギリス、フランスなど)、New EU(ブルガリア、ポーランドなど)、EU以外の先進国(アメリカ、日本など)、New EU以外の新興国(インド、中国など)の4グループに分けた。後者では、47都道府県別データを東京都および政令指定都市をもつ道府県(都市部)とそれ以外の県(地方部)の2グループに分けた。その際、産出を付加価値、投入を労働、資本、エネルギーとした。また、非効率に影響を与えると思われる要因を説明変数として加えた。
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