研究課題/領域番号 |
16K03663
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
黒田 敏史 東京経済大学, 経済学部, 講師 (80547274)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 寄付市場 / メディアと人間行動 / 生産性 / 広告競争 |
研究実績の概要 |
本研究では、第一に寄付市場への参入が市場の生産性にもたらす効果をOlley and Pakes(1996)以降の生産性分析の発展、特に動学的な参入・退出効果の分解を考慮したMelitz and Polanec(2014)を踏まえた分析を行います。第二に、広告の需要増大効果と需要移転効果の識別を行ってきた一連の研究のうち、広告の動学的な需要に与える効果を分析し、広告の禁止が厚生に与える影響を分析したAckerberg(2003)、広告の動学的な供給行動を分析したShapiro(2014)を踏まえ、寡占市場におけるアドボカシー活動の効果を分析し、アドボカシー活動が長期的な寄付市場の均衡に与える影響を分析します。 初年度は、日本の寄付市場の分析の基礎となる、データベースの構築に向けた文献調査を行いました。文献調査の結果、寄付市場と広告競争についてのまとまったデータベースは存在しておらず、さまざまな手法を用いてデータベースの整備を行うことが必要である事がわかりました。さらに、公表されているデータの様式が統一されていないため、一定以上の人力による整備が必要であることがわかりました。データベースの整備には費用がかかる事が見込まれるため、データベースの構築に着手する前に、仮説を検証するのに必要となるデータについて整理を行う事としました。 仮説を検証するために必要なデータを整理するため、関連する着想の背景となる広告市場の競争、メディアと市場均衡、生産性分析に関する文献調査を実施しました。 また、Webサイトや報告書等から効率的にデータを抽出するため、Pythonを利用したスクレイピング能力の向上のための学習等も実施しました。 一方、学会への参加によるネットワーキングについてはスケジュールの調整が付かず、未実施となっています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
寄付の募集・仲介を実施している団体の公表している資料には様式・項目等が不統一であるため、データベースの構築には想定以上の時間がかかる事がわかりました。今後はRAの雇用等でデータベースの構築に向かって作業を進めて行きます。実証モデルの開発には計画通り進めて行きます。
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今後の研究の推進方策 |
寄付市場の生産性、並びに広告競争の分析を行う上で必要となるデータベースの迅速な構築が第1の課題となっています。こちらはRAを雇用する事で着実に構築を行う体制を作ります。実証モデルの開発は計画通り文献調査を中心として進めます。データが揃い次第生産性の推移を確認し、その後要因分解へと進んで行きます。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会に論文報告を申し込んだものの不採択であったことや、データベースの構築を行うための下準備が未完成である事から、ラップトップの購入・RAの雇用を行うための予算が未使用となっています。
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次年度使用額の使用計画 |
データベースの政策作業を行うRAの雇用、並びに作業用ラップトップコンピュータの購入に使用します。
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