研究課題/領域番号 |
16K03663
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
黒田 敏史 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (80547274)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 広告市場 / 構造推定 |
研究実績の概要 |
本研究では、第1に寄付市場への参入が市場への生産性にもたらす影響を現代的な生産性推定の手法によって明らかにすることを目標としている。第2に、広告の需要増大効果と需要移転効果を識別子、寄付市場におけるアドボカシー活動の効果を分析し、長期的な寄付市場の競争均衡の性質を明らかにすることを目標としている。 30年度は29年度引き続き、寄付市場のデータベース構築に基づいて生産関数の推定を行い、生産性の推移について分析を行う予定であった。しかし、データ収集が遅れており、引き続きデータの整備を継続している段階である。 寄付市場の競争均衡の構造推定については、さし当たりデータが入手できた際に推定に用いる消費者の寄付需要と、企業の広告支出の同時決定モデルを構築し、シミュレーションを実施した。消費者の内生変数は寄付の量と広告への曝露量であり、企業の内生変数は寄付価格/数量と広告の不効用(価格に相当)/量である。消費者・企業の2変数の同時決定モデルは解析的に解くのは困難であるほか、広告の外部性から均衡が一意に定まらない場合がある事から、分析を行うモデルに何らかの制約を与えなければ比較静学が困難であることが判明した。モデルの解が一意となるような制約が現実のデータの振るまいと矛盾しないよう、データを見てからモデルの修正を行う事が必要である。 寄付市場のデータ収集と合わせ、現実の企業行動をよく表現しつつ、構造推定が可能なモデルの構築を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
データの収集が予想以上に困難であったことから、データベースの構築が依然として完了していない。また、寄付量と広告量の同時決定モデルの性質が平易では無く、データが無い段階ではどのような制約によって一意なパラメータの得られる現実と整合的な振る舞いをするような制約が明らかでは無い。モデル構築と数値計算自体の技能取得は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きデータ収集とモデル構築のインタラクションを進め、期限内に少なくとも静学的な構造モデルの分析が終わるよう分析を進めてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
データベースの構築が終わらなかったため、国際学会での生産性推定結果の学会報告・論文投稿が行えていない。また、RAを利用した人海戦術を行うためのRAの雇用の目処が立っておらず、研究費を使い切れていない。
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