研究課題/領域番号 |
16K03673
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
加藤 篤行 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (10470064)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 国際経済学 / 海外直接投資 / 生産性 / 為替レート |
研究実績の概要 |
経済産業省より海外事業活動基本調査個票データを受け取り、同データを用いてインドに進出している日系企業の現地法人について連携研究者の佐藤隆広神戸大学教授と共著で論文「インドにおける日系企業の事業活動:経済産業省『海外事業活動基本調査』個票データを利用して」をまとめた。同論文は金沢大学で本研究課題の研究代表者が所属している国際経済研究会において成果報告を行い、法政大学経済学部の紀要である「経済志林」第85巻第4号に掲載予定である。同論文では、進出企業数、出資金推移、雇用者数、給与および労働分配率、売上高、付加価値、労働生産性、経常利益、利益、各種コスト、現地販売および輸出シェア、輸出先別シェア、現地販売の取引相手、現地調達および輸入シェア、輸入仕向地および現地調達先別シェアなどの項目別に図表を作成し、インドにおける日系企業の活動に関する包括的な情報を提供しており、インド経済の研究者のみならずインドに進出している、または関心のある産業界にとっても価値のある情報提供を行っている。研究代表者は中国についても同様のデータ整理を行い、その結果については今年度中に金沢大学経済学類の紀要である経済論集に投降予定である。さらに、本研究課題に関して2月3日に外部研究者を招いたセミナーを金沢大学で行い、連携研究者とのさらなる研究計画の打ち合わせ・確認のみならず、兵庫県立大学の西山博幸教授および新潟県立大学の鎌田伊佐夫教授との共同研究について意見を交換し、2月中に西山教授の理論モデルに基づいた日系企業の分析に関する研究をスタートさせた。加えて、アジア経済研究所の研究者が金沢で行ったセミナーに参加し、研究計画について有益なコメントを受け取った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の第1段階として、連携研究者と経済産業省海外事業活動基本調査個票データを用いた分析を行い、その成果を経済志林に投降した。これにより、研究代表者および連携研究者が経済産業省個票データの使用について十分な経験を積み、さらに同データの特徴を把握したことで、研究の第2段階である同データと企業活動基本調査個票データをマッチングしたデータベースによる分析を行う上でのデータに関する基礎情報を整理できた。加えて、今後の研究についてAntras等の理論モデルに基づいた実証分析および西山教授の理論モデルに基づいた実証分析について活動計画を具体的に整理することができた。
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今後の研究の推進方策 |
経産省の企業活動基本調査と海外事業活動基本調査の個票データをマッチングして、本社と現地法人をつなぐデータベースを作成し、それを用いて最新の理論モデルに基づく日本企業の海外事業活動に関する実証分析を行う。この研究では、インドに進出している日系企業については神戸大学の佐藤隆広教授との共同研究をさらに進める。中国および東南アジア地域に進出している企業については、兵庫県立大学の西山博幸教授、新潟県立大学の鎌田伊佐夫教授と共同で研究を進める。また、欧米に進出している日系企業については代表者個人によりAntras等の理論モデルの検証を行う。これらの結果を比較することで、日系企業の海外直接投資について、地域間の比較から政策インプリケーションについて議論を行う。昨年度中にまとめた中国に関する日系企業の活動状況について論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
アシスタントに予定していた博士研究員のうち、個票データの使用者として計画書でも指定した博士研究員が謝金を受け取らなかったため、該当する人件費分が使用できなかったために余りが生じた。今年度は、研究協力者を増やしたので、彼らとの意見交換や研究成果報告会、完成した論文の海外学会報告、学術誌への投稿を行う予定である。また、そうした目的のために、携帯可能なPC端末機を購入する予定である。さらに、適任者が確保できれば、アシスタントとしてデータの整理(経産省個票データ以外)を依頼することも検討している。
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