本研究課題は日本企業の対外直接投資について米国、中国、インドのケースを分析することでさらなる発展に向けたインプリケーションを得ることを目的とした。このような目的に対して、以下の研究成果を得た。まず、インドにおける日系企業現地法人について経済産業省海外事業活動基本調査の現地法人データを用いて分析を行い、その活動について規模や本社との関係、利益率等様々なデータを整理し、学術面のみならずインド進出を考えている、あるいは実際に進出している企業にとっても有益な資料を作成した。この結果は「経済志林」(法政大学)に掲載済みである。次に、同様の分析を米国および中国に進出している企業に対しても行った。これらの分析により立地別の進出企業特性を明らかにしたことで条件の異なる地域への進出を比較する際のベースの資料を作成した。この結果は「経済論集」(金沢大学)に掲載済みである。また、同調査データと経済産業省企業活動基本調査のデータをマッチングし、企業の生産性、固定費、賃金水準と立地戦略の関係について、理論モデルに基づき実証分析による検証を行った。この実証分析で日本企業の立地戦略における中国と東南アジア諸国との選択のパターンについて明らかにした。この結果は金沢大学ディスカッションペーパーとして発表した。さらに、同調査のデータを利用し、企業内貿易と為替レートの関係を分析し、企業内貿易のうち本社から現地法人への輸出については為替レートに対する反応が通常とは逆に円安で減少し円高で増加することが明らかとなった。この結果は経済産業研究所ディスカッションペーパーとして発表済である。
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