2015年の欧州難民危機では玄関口となる国々の対応は異なっていた。経済事情の悪い、流入する移民・難民にとって通過国であるギリシャは国境管理が甘かった反面、移民の一部は国内に滞留するイタリアでは比較的厳密な国境検問を行った。最終目的国であるドイツは、国内査察によってしか不法就労者を取り締まれない。この研究では、最終目的国の経済政策の有効性を分析し、1)国境検問を行っている国にその強化を促す政策は、移民の流れが国境管理の甘い国にシフトする結果をもたらすため、当初は実効性があっても、持続的に効力を保てない。2)国境管理の甘い国との間に国境検問を行うことは有効である、以上2つの政策提言を得た。
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