研究課題/領域番号 |
16K03678
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
橋本 貴彦 立命館大学, 経済学部, 准教授 (80510726)
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研究分担者 |
杉田 伸樹 立命館大学, 経済学部, 教授 (60572568)
稲葉 和夫 立命館大学, 経済学部, 教授 (70117000)
古川 彰 立命館大学, 経済学部, 教授 (80330017)
申 雪梅 立命館大学, 経済学部, 准教授 (00636962)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域産業連関表 / マルクス経済学 / 中間財 / 技術変化 / 商品流通調査 |
研究実績の概要 |
研究計画2年目にあたる2017年度の研究実績は以下のようである。 第一に,滋賀県下の市町村または圏域を対象にした地域産業連関表作成にかかわるものである。この産業連関表作成にかかわって,移出に関する調査結果は必須であるが,2017年度に滋賀県庁がおこなった「商品流通調査」について,2018年度に調査結果を活用する方向で実務的な打ち合わせを行った。 また,地域産業連関表作成にかかわっては,この「商品流通調査」等の素材とそれらを加工していく技能が必要となる。そこで,2017年6月23日に,居城琢氏(横浜国立大学・准教授)を招聘し,「地域産業連関表の作成と分析:神奈川県表および小地域産業連関表の作成を事例に」と題し,滋賀県下の自治体関係者などと討議をおこなった。その後,環太平洋産業連関分析学会を2017年10月20日に,本学で実施し,「地域産業連関表作成とその利活用」と題したプレイベントを開催し,研究者及び自治体関係者,シンクタンク関係者らと研究交流を深めた。 第二に,地域産業連関表を用いた応用分析についての検討である。2016年度については,二国間の交易条件の測定方法をマルクス経済学やリカードの経済学の手法を参考にサーベイし,実際に,40か国を対象にした世界産業連関データベースを用いて検証した(橋本(2018))。2017年度において,ある最終生産物を取得するために,直接間接にどの量の国民的な労働が必要かという,リカード的な問いやレオンチェフで問題とした問いを再検討し,2016年度の交易条件の測定方法を応用して,日本を素材に,2030年の最終生産物の編成や労働配分について検証した。さらに,中間生産物の貿易の増大によって,各国の各産業において,偏向的な技術変化が生じていたことを実証的に示すことができた(橋本(2018))。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画2年目にあたる2017年度の進捗状況は以下のように評価できる。 第一に,滋賀県下の市町村または圏域を対象にした地域産業連関表作成に欠かせない「商品流通調査」を無事に調査が終了し,2018年度にデータを入手することができる目途が付いた点は進捗したと評価できる点である。しかし,当初は2017年度中にデータを入手できるものとして計画を立てていたため,作業の進展が遅れたという事実もある。 第二に,地域産業連関表を用いた場合の応用分析についてである。地域間の移出財の交易に係る経済問題に関して検証することができており,この点は大きな進捗であったと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画3年目にあたる2018年度の研究実績は以下のようである。 第一に,滋賀県下の市町村または圏域を対象にした地域産業連関表作成を行い完成を目指す。その際に,滋賀県庁が実施した2015年を対象にした「商品流通調査」のデータを入手し,滋賀県下の市町村別にどの程度,移出をフォローできているかを検証し,地域産業連関表の地理的なカバーの範囲を決定していく。このデータに関しては2018年7月末までに入手を完了し,同年8月以降から作成を開始し,早期の完成を目指す。途中可能であれば,環太平洋産業連関分析学会の地域産業連関にかかわる分科会を設け,報告を行い,課題を検証していくことを目指す。 第二に,地域産業連関表を用いた場合の応用分析についてである。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は以下のようである。2017年度に予定していたデータ入力作業が,2018年度へと延期となったためである。また,2017年度10月21日に開催した地域産業連関分析にかかわる学会のプレイベントの開催費用が,大学や自治体の協賛によって,負担が減じられたためである。 使用計画であるが,以下を予定している。2018年度の早期に利用申請する滋賀県庁作成の「商品流通調査」の結果をデータ入力する作業の費用である。そして,地域産業連関表作成にかかわる技能や経験交流のためのセミナー開催費用を計上している。
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