研究課題/領域番号 |
16K03685
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
國枝 卓真 関西学院大学, 経済学部, 教授 (60511516)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 金融市場の不完全性 / 経済成長 / 内生的景気循環 |
研究実績の概要 |
2020年度は、二つの論文が完成し国際ジャーナルに出版・採択された。一つは、2018年度より引き続き行ってきた失業とバブルの関係を世代重複モデルで分析した研究で、これは国際ジャーナルに採択されて、2020年度に出版された。この研究は、バブルが崩壊すると経済成長が鈍化し、その結果、失業率が上昇していしまうということを示したものである。もう一つは、経済成長の理論モデルに基づき、東アジア諸国の成長パターンを世界の他の諸国と比較可能な推定式を導出して、計量経済学的な方法を用いて実証分析した研究である。そこでは、人的資本が十分に蓄積している国では、技術の国際的な伝播のスピードが速く、そのことにより経済成長が促進されるということを示した。この人的資本が技術の採択に正の効果を及ぼすという結果は、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムなどの東アジア諸国において、世界の他の国々よりも強く働くということが示された。この論文は、2020年度に国際ジャーナルに採択済みであり、2021年度中に公刊される予定となっている。また、均衡で内生的景気循環が生じ、金融市場の発達とともに景気変動の振幅が増幅されてしまうという結果を得た研究も2018年度から引き続き行っているが、この論文はすでに完成し、2021年度の国際学会で報告予定であると同時に、現在国際ジャーナルに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は本研究プロジェクトでこれまで得られた主要な研究成果を国内外の学会やコンファレンスで報告する予定であったが、新型コロナウイルスの蔓延により、予定していた学会やコンファレンスに出席することができなかった。それにも関わらず、「おおむね順調に進展している」と評価した理由は、2020年度に出版・採択された二本の論文も含めて、これまで本研究プロジェクトでは、数多くの研究論文を国際ジャーナルに出版できたからである。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、本研究プロジェクトの最終年度と位置付けて、当初計画していた通り国内外の学会やコンファレンスでこれまでの研究成果を報告することを目指す。現在のところ、6月に予定されているオンラインによる国際学会で、前述の内生的景気循環の論文を報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外の学会やコンファレンスで研究成果を報告する予定であったが、新型コロナウイルスの蔓延により、計画していた学会・コンファレンスに出席できなかった。2021年度は、繰り越した額を、旅費として及び学会参加費として使用して、学会に出席し、研究成果を報告する。
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