研究実績の概要 |
平成28年度に遂行した研究は以下のとおりである。(1)学校規模が児童・生徒に与える効果に関する分析を進めるために必要な作業として,既存データの整備と非認知能力の定量化の作業を進めた。既存データの整備に関しては,新たに公表された国際数学・理科教育動向調査(略称TIMSS)の2015年調査データを入手し,分析に向けた整備・検証をおこなった。この2015年調査では,日本で初めて保護者調査が実施されたことを確認し,その活用に向けた準備作業を並行して実施した(後述)。非認知能力の定量化に関しては,海外の文献を中心にサーベイを進め,適切な手法を検討した。分析結果を英文論文("Determinants of personality traits of school-age children: Evidence from Japanese students at age 12")としてまとめ,国内の研究会で発表したのち,国際学会(The 15th International Convention of the East Asian Economic Association, Bandung, Indonesia)で報告した。両報告では国内外の研究者からコメント・アドバイスを受けることができた。 (2)上記の通り,本研究で使用する国際調査の2015年調査結果が新たに公表された。2015年調査では,国内調査において初めて保護者調査が実施され,その結果が部分的に公表されていることを確認した。2015年調査は現時点で最新の調査であり,本研究課題においてこの調査データを活用することが重要であると認識したため,このデータの整備・確認作業を進めた。具体的には,調査項目の確認,調査項目のうち公表・非公表項目の確認,児童・生徒データと保護者データおよび学校データの接続,データクリーニング等である。こうした準備作業の結果,本研究課題においてこの2015年調査データを活用できることを確認できたため,本格的な定量分析に向けた準備作業を進めた。
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