研究課題/領域番号 |
16K03701
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岸田 研作 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (30346407)
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研究分担者 |
谷垣 靜子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (80263143)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 介護離職 |
研究実績の概要 |
『就業構造基本調査』(2012年)を用いて、介護離職者の再就業の実態把握を行った。まず、カプランマイヤー法による生存関数を用いて就業再開率を推定した。 その結果に基づくと、年間の介護離職者約10万人のうち、離職後2年時点の就業再開者数は約2万6,400人である。それ以降に就業を再開する者もいることを考慮すると、労働市場からの完全退出数は7万3,600人以下である。また、完全退出者の6割強は55歳以上である。 65歳以上の就業再開者はほとんどいない一方、労働市場から完全退出した場合の機会費用が高い50代前半までの年齢層では、半数弱から3分の1が就業を再開していた。しかし、介護が終わっても就業を再開しない者がおり、それらの者の就業率は、経済環境や「市場の摩擦」では説明できない水準までにしか回復していなかった。 次に、介護離職前後の就業状態の変化の決定要因について多項ロジットモデルによる分析を行った。その結果、介護離職者の再就業の形態は、前職・正規雇用で離職時年齢が若い男性は正規雇用が比較的多く、前職・正規雇用以外や離職時年齢が高いものは正規雇用以外が多いことがわかった。さらに、無配偶の男性介護離職者は、有配偶者より無業となる確率が高かった。 『社会生活基本調査』の1996~2016年を用いて、介護者数と介護時間の経年変化を調べた。それによると、要介護者の増加に伴い65歳以上の者を介護する者の数は一貫して増加し続けている。ところが、介護者1人当りの介護時間は減少しており、その結果、要介護者1人当りに費やされる家族介護者による介護時間は近年になる程減少していた。介護時間の減少は、介護をした1日当りの介護時間の減少と介護頻度(行動者/介護者数)の双方が減少していることによる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の基礎となる分析の概要が固まっているから。
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今後の研究の推進方策 |
『社会生活基礎調査』によると、介護者1人当りの介護時間は経年的に減少している。減少の集団間や時間帯による違いを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への発表が一年遅れたから。予算の大半は国際学会への参加とソフト購入費に充てる。
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