研究課題/領域番号 |
16K03703
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
石田 和之 徳島大学, 大学院総合科学研究部, 教授 (30318844)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地方税 / 安定性 |
研究実績の概要 |
本研究は、地方行財政改革が直面する課題のひとつである安定的な地方財源の確保に関して、地方税の安定性という観点から取り組む研究である。このような研究課題を設定したことの問題意識は、地方税の課税ベースとなる所得や利潤、固定資産の価格などが、景気の動向に伴って、変化することがあったとしても、税制がその変化をうまく吸収するように設計されていれば、地方税収を安定化させることができるのではないかという仮説である。本研究は、この仮説を実証的に検証することを通じて、税収の変化を安定化させるような地方税の制度設計のための条件等を明らかにすることに取り組むものである。 この目的を達成するため、本研究は、1税制による課税ベースの変化の抑制効果の検証、2タックス・ミックスによる税源の多様化と税収の安定性の関係の検証、という2つのサブテーマを設けている。 研究初年度である今年度には、上記2つのサブテーマのうちで、2のテーマに取り組んだ。具体的には、道府県税と市町村税に関して、税収の多様化と安定性の関係を実証的に検証した。そして、分析の結果について、研究会での報告を1回行い、他の研究者からのコメント等を得た。市町村税については、まずまず妥当と思われる推計結果であったが、道府県税については(地方譲与税などの)データの扱いなどに若干の修正を施し、再度、検証した。また、1についても、一部、分析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)税制による課税ベースの変化の抑制効果の検証、(2)タックス・ミックスによる税源の多様化と税収の安定性の関係の検証、という2つのサブテーマを設けて、課税ベース要因と制度要因を考慮して、地方税収の安定性を実証的に明らかにすることを目的とした研究である。研究期間は、3年間を予定している。当初に予定していた初年度の内容は、(1)分析に必要なデータの収集・整理、(2)サブテーマの一部についての分析の着手である。 1年目である平成28年度の実績は、「9.研究実績の概要」に記したとおり、(2)の分析に着手し、結果を得ている。(2)の分析への着手に当たっては、これに必要なデータの入手し、整理している。その他、並行して、(1)に関しても、一部について着手している。 したがって、おおむね当初に予定していた通りの進捗であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究が取り組む分析は、具体的には、(1)地方基幹税として住民税、事業税、地方消費税、固定資産税を対象として、税収の短期的所得弾力性との関係で税収の変化の要因を明らかにすることで税制による課税ベースの変化の抑制の効果を検証し、(2)タックス・ミックス(税源の多様性)と税収の安定性の関係を分析することで課税ベースの多様化が税収の安定性にどのように寄与するのかを明らかにすることである。 この目的のために、初年度には、(2)のサブテーマの推計に着手し、(1)の一部について分析に着手した。 初年度における研究の状況を踏まえて、研究2年目以降は、サブテーマ(1)の残りの課題に着手するとともに、サブテーマ(2)に関して1年目に得た分析の結果を研究成果としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書の購入等のスケジュールにおいて年度当初の予定から若干の変更があり、その結果として、若干の残額が生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
残額については、それぞれ、旅費、謝金等、その他経費に振り分けたうえで、平成29年度分の助成金と合わせて、本年度の研究遂行のために使用する予定である。
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