高齢化が急速に進行する日本では、社会保障支出が急増すると同時に労働力の減少による大幅な税収減が予測される。制度改革が不可避である一方、痛みを伴う改革を先送りするインセンティブが存在し、どのタイミングでいかなる政策が実施されるかに関して不確実性が存在する。本研究では、マクロ経済モデルを用いて改革を先延ばしにすることによって生じる経済的な影響・財政・厚生効果を推計し、改革時期と内容の不確実性に起因するコストについて数量分析した。これらの分析結果は喫緊の政策課題を迅速に解決する必要性を強調している。政策の不確実性や、改革の遅れによる費用を明示することにより政策議論の活発化を促す効果が期待される。
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