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2017 年度 実施状況報告書

純社会支出に焦点を当てた社会保障供給体制の政治経済学的分析

研究課題

研究課題/領域番号 16K03713
研究機関早稲田大学

研究代表者

小西 秀樹  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50225471)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード純社会支出 / 所得再分配 / 動学パネル分析
研究実績の概要

昨年度に引き続き,OECDの社会純支出データベースを利用して,実証分析を行った.これまでの数少ない研究では,公的純支出と私的純支出を別々の変数として扱いながら,Gini係数などの分配不平等指数を線形回帰する手法がとられていたが,両項の交差項を説明変数に含めると回帰の結果が大きく変化してしまうことを発見したので,総純支出(公的純支出と私的純支出の和)および私的純支出と公的純支出の比,さらにこれら2つの交差項を主要な説明変数とした,新たな回帰式を用いて計測を行った.さらに,過去の研究にもとづいて,私的部門を通じた社会保障の供給も福祉国家による社会保障供給の一部と見なしたとき不平等指数の計測にはバイアスが出ることや,分配不平等と社会保障システムの間の逆因果関係がありうることを考慮して,動学的パネル分析へと分析枠組みを拡張して計測を行った.サンプルサイズが比較的小さいために,動学的パネル分析の結果は必ずしも芳しいものではないが,それでも,私的な社会保障供給を政府が後押ししている国では,同じだけの社会保障サービスが供給されていても所得分配は不平等化するという結果が検出され,とくに「隠れた福祉国家」と呼ばれている米国をはじめとする国々では,社会保障システムを通じた再分配効果がゼロと有意には違わないことが実証された.この分析結果は,University of California, Irvineのセミナーで報告し,2018年3月末時点では論文の改訂中である.また本研究のアイディアをもとにして,財務省,アジア開発銀行,国際通貨基金が主催したTokyo Fiscal Forum 2017で招待講演を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

論文がほぼ完成し,18年度ではいくつかの大学や学会で報告してフィードバックを得ながら査読誌へ投稿する一方,社会保障システムの政治的選択に関する実証研究へ研究を進める準備も整っているから.

今後の研究の推進方策

第1段階の研究は完了したので,論文を査読誌に投稿する一方,各地の大学や研究会,学会で報告しフィードバックを得ながら改訂作業を継続する.その一方で,私的純支出と公的純支出の比率を非説明変数とした実証分析を開始する.これは,社会保障の供給体制において私的部門がどのような要因によって利用されるようになるのかを政治経済学的に明らかにする分析である.

次年度使用額が生じた理由

カリフォルニア大学アーバイン校を研究拠点としての長期海外出張の滞在費および日本での研究出張に費用がかかると見込んで前倒し請求を行い,若干の端数が残額として残っている.2017年度末で帰国したので,海外旅費は必要なく,翌年度分の請求額と併せて国内旅費などに使用する計画である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] University of California, Irvine(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of California, Irvine
  • [学会発表] Political Economy of Fiscal Policy under Demographic Changes: Public Pension, Social Security Financing, and the Role of the Private Sector2017

    • 著者名/発表者名
      Hideki Konishi
    • 学会等名
      Tokyo Fiscal Forum 2017
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-21  

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