研究課題/領域番号 |
16K03716
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
吉田 千鶴 関東学院大学, 経済学部, 教授 (70339787)
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研究分担者 |
前田 正子 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (20596192)
天野 恵美子 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (20375215)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 時間配分 / 余暇時間 / 家族形成 / 家族政策 |
研究実績の概要 |
夫と妻の就業時間、家事・育児時間、余暇時間の時間配分と子供数との関係について、その規定要因を探り、規定要因と家族政策との関係を考察することが本研究の目的である。就業や子どもをもつという決断を分析するには、幸福度の規定要因のひとつ余暇を分析に含めることが重要であり、本研究は余暇時間に関する情報を含む政府の大規模調査「社会生活基本調査」を使用する予定である。2016年度は、政府統計調査「社会生活基本調査」のデータについて、匿名データと目的外使用申請をした場合のデータとでどちらがふさわしいか検討した。 データ申請がうまくいかない場合の研究として、2004年に日本で実施された『結婚と家族に関する国際比較調査』の第1次調査と2007年に実施された第2次調査を使い、結婚の幸福度と子どもとの関係を実証分析した。その結果、女性の結婚の幸福度は、出生があると低下している。女性が非就業であって、就業と育児のバランスをとる必要がない場合であっても、出生があると女性の結婚の幸福度がより低下し、非就業の妻をもつ男性の結婚の幸福度もより低下する。この低下は性別分業をしていても避けることはできない。就業している女性に対する育児休業や育児サービスの供給だけでは支援として不十分であり、男性も就業以外の活動に時間が使うことができ、出生後の妻と十分コミュニケーションがとれるようなワーク・ライフ・バランスの支援が必要であることが示唆された。 家族政策にかかわる研究として、保育園の待機児童がなぜなくならないのかについて、保育現場と行政、住民との関係を考察した。また、就業や子ども数の決断には、子どもに支出する消費が重要な規定要因となりうるので、子どもの消費実態に即したマーケティングの課題を国内外の事例を取りあげて考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、研究に政府の統計調査「社会生活基本調査」の匿名データを使用する予定であった。研究を進めるために情報量の多いデータの入手が可能である「社会生活基本調査」の目的外使用申請を検討したため、データの申請が遅れた。 政府の統計調査データによる研究が予定通りいかない場合の研究については、おおむね予定通り進んでおり、国際学会を含む各種学会等で成果の報告を行っている。 また、子育て支援や消費にかかわる規制などの情報収集はおおむね予定通り進んでおり、論文や図書で成果の報告を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、「社会生活基本調査」の匿名データ利用申請を行い、夫と妻の時間配分において、明示的に余暇時間を区別し、1)子供数によって夫と妻の時間配分のパターンにどのような違いがあるか。2)時間配分のパターンと時間配分と子供数との関係は、年次によって変化しているのか。について、実証分析を行う。これら1)、2)から、子ども数と時間配分との関係についての規定要因について知見を得る。 家族政策についての文献調査、実証分析モデルに家族政策の文脈を加えるための情報収集とモデルへの投入方法についての検討を昨年度から引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画でデータ利用申請を行う予定であった政府統計調査「社会生活基本調査」について、匿名データ利用申請を行うか、目的外使用の申請を行うかを検討していたため申請が遅れた。匿名データ利用申請の手数料として計上していた経費および統計解析用のソフトの経費などが次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、匿名データ利用申請手数料、統計解析用のソフトの経費として使用する予定である。
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