研究課題/領域番号 |
16K03719
|
研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
大森 達也 中京大学, 総合政策学部, 教授 (70309029)
|
研究分担者 |
内藤 徹 同志社大学, 商学部, 教授 (90309732)
石田 和之 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (30318844)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 自然災害 / 都市形成 / 出生率 / 都市と地方の人口分布 / 税制 |
研究実績の概要 |
これまで年度の知見や研究成果をもとに、研究分担者は調査・研究を継続し、ナショナルリスクとライフリスクの保障政策の理論構築を図り、その一部を研究成果としてまとめ、研究論文として公表した。 研究代表者の大森は、高齢者の「生活の質」に注目し、ライフリスクの保障政策が個人の支出行動に及ぼす影響を分析し、“Parent life and Children's life: Public health expenditure and Human capital formation”として、論文にまとめ、応用経済学研究に掲載された。 研究分担者である内藤は、これらのリスクが都市形成に及ぼす影響の分析を深め、大森とともに“Aging and urban agglomeration under a multi-regional overlapping-generations model”として論文にまとめ、海外の英文専門雑誌に掲載された。さらに、ライフリスクを軽減する予防医療と高齢化が都市形成に及ぼす影響について内藤と大森は伊ケ崎大理氏とともに、“Precautionary Public Health, Aging and Urban Agglomeration”として論文にまとめ、海外の英文専門雑誌に掲載された。 石田は、保障政策の両立が都市形成に及ぼす影響について研究を深め、その研究成果の一部を“Relationships between Diversity and Changes in Municipal Tax Revenue: Empirical Results from Japan’s municipalities”としてまとめ、シンガポールで開催された国際学会で報告した。 2017年度はライフリスクとその保障政策について研究成果が主たるものとなった。2016年度に公表した研究成果の一部であるナショナルリスクと保障政策とこれらの融合を進める研究を行うことが最終年度の課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績概要に示しているように、研究代表者と研究分担者は調査・研究だけでなく、すでに一部の研究成果は公表しており、これらをもとに研究をさらに深めていく。 研究代表者の大森が発表した“Parent life and Children's life: Public health expenditure and Human capital formation”では、高齢者の生活の質をライフリスクの一つとして考え、予防医療としての公的医療政策と出生率に影響を及ぼす子どもの教育費を軽減する公的教育が社会厚生に及ぼす効果を分析し、公的医療政策よりも公的教育を充実させた方が社会厚生を高めるときがあることを明らかにしている。大森と内藤の共同研究の成果である“Aging and urban agglomeration under a multi-regional overlapping-generations model”では、高齢化は都市と地方の格差を拡大することを明らかにした。石田は、保障政策の両立が都市形成に及ぼす影響について研究を深め、日本の地方自治体間の税制度の違いに関する実証分析を行った。 2017年度は主にライフリスクを中心に研究をまとめながら、どのようにナショナルリスクをライフリスクと結び付けるかということを分析した。すでに、これらのリスクを結び付けた論文を作成し、専門雑誌に投稿し、査読者から得られたコメントをもとに改訂中である。 このような進捗状況から、本課題研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年である本年度は、これまで得られた研究成果をもとに、研究目的でも述べた個人が直面する自然災害や国際紛争などのナショナルリスクと病気、高齢化などのライフリスクに対する保障政策を融合的に捉えた基礎理論を構築し、保障政策の提言に寄与することができるようにする。さらに、定性的な理論を構築するだけでなく、理論に対する頑健性を定量的に確認し、それについても研究成果を公表していく。 そのために、研究代表者と研究分担者はさらに研究テーマの分析を深め、ナショナルリスクとライフリスクの融合した理論構築により、政策提言に寄与できるようにインプリケーションを導き出し、論文としてまとめるだけでなく、様々な研究発表の場で成果を公表していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究代表者の大森が本務校において学長補佐と学部長を兼務したために校務が増大し、研究分担者の内藤も勤務先での校務が増大した。ともに研究活動の一部に支障が生じたため、2017年度の使用予定額が2018年度に繰り越され。なお、大森と内藤の研究活動の支障は研究グループ内で相互補完した。 (使用計画) 残額については大森と内藤に分担し、両者に国際学会での報告予定があり、残額を使用する予定である。
|