研究実績の概要 |
本年度の研究実績は次のとおりである。 1.Mutsumi Matsumoto and Kota Sugahara, 2017, A note on production taxation and public-input provision, The Annals of Regional Science, 59, 419‐426. 生産課税の下での公的中間財供給の効率性条件について,生産要素拡大的な公的中間財を仮定することで,先行研究が導出した条件を一つの特殊形として含んだより一般的な条件を提示した。 2.Kota Sugahara, Searching for soft budget constraints: a case of intergovernmental transfer system in Japan(未定稿;愛知大学経済学部地方財政学研究会にて発表)中央政府のdynamic commitment問題と都道府県のcommon pool行動を捉えた理論モデルを構築し,それに基づいた実証分析によって,ソフトな予算制約問題の有無について検証した。分析結果より,日本の地方交付税制度においては,先行研究が指摘するようなbailoutによるcommon pool行動は見られないこと,一方で都道府県のcommon pool行動の要因は地方交付税の強すぎる財政調整機能に由来している可能性があることを明らかにした。 3.日本財政学会第74回大会において,研究発表「日本における自治体間財政競争‐歳出分類別の分析‐」(山本航 東京大学大学院)に対する討論を行った。討論資料の中で,自治体間の相互連関の源泉を識別する過程においては,特に児童福祉費や老人福祉費についての推定では国庫支出金や地方交付税の影響が大きいため,これらをコントロールすべきであることを図解した。
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