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2017 年度 実施状況報告書

予算と決算の乖離を用いた地方交付税問題に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03722
研究機関京都産業大学

研究代表者

菅原 宏太  京都産業大学, 経済学部, 教授 (90367946)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードソフトな予算制約 / 地方交付税 / 財政競争
研究実績の概要

本年度の研究実績は次のとおりである。
1.Mutsumi Matsumoto and Kota Sugahara, 2017, A note on production taxation and public-input provision, The Annals of Regional Science, 59, 419‐426. 生産課税の下での公的中間財供給の効率性条件について,生産要素拡大的な公的中間財を仮定することで,先行研究が導出した条件を一つの特殊形として含んだより一般的な条件を提示した。
2.Kota Sugahara, Searching for soft budget constraints: a case of intergovernmental transfer system in Japan(未定稿;愛知大学経済学部地方財政学研究会にて発表)中央政府のdynamic commitment問題と都道府県のcommon pool行動を捉えた理論モデルを構築し,それに基づいた実証分析によって,ソフトな予算制約問題の有無について検証した。分析結果より,日本の地方交付税制度においては,先行研究が指摘するようなbailoutによるcommon pool行動は見られないこと,一方で都道府県のcommon pool行動の要因は地方交付税の強すぎる財政調整機能に由来している可能性があることを明らかにした。
3.日本財政学会第74回大会において,研究発表「日本における自治体間財政競争‐歳出分類別の分析‐」(山本航 東京大学大学院)に対する討論を行った。討論資料の中で,自治体間の相互連関の源泉を識別する過程においては,特に児童福祉費や老人福祉費についての推定では国庫支出金や地方交付税の影響が大きいため,これらをコントロールすべきであることを図解した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究のテーマである地方交付税についてのソフトな予算制約問題について,理論分析,実証分析の両面から一定の研究成果が得られたため。

今後の研究の推進方策

今年度得られた結果について,推定手法等を精査し頑健性を高めた上で,研究成果として公表する。また,静学的な2期間モデルを微分ゲームを用いた動学モデルへ拡張し,SBC問題の実証分析を行う。具体的には,次の点について研究する。
(1) 地域ウェイトの再調整および地方債発行額と単独事業費を被説明変数とする実証分析によって,中央政府のdynamic commitment問題と都道府県のcommon pool行動の有無を再確認する。
(2) Sato (2002)とTakahashi et.al. (2008)のモデルを基にして微分ゲームを用いた動学モデルを構築し,動学パネル分析を行うことで,逐次的な戦略選択を含む中央政府のdynamic commitment問題と都道府県のcommon pool行動を考察する。
(3) 林(2006)に基づいて,SBCの効果と他の地域間相互連関の効果との識別方法を検討する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)招聘を予定していたワークショップ参加者の辞退があったため。

(使用計画)ワークショップ招聘者数の増員,英文校正委託費への充当

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] A note on production taxation and public-input provision2017

    • 著者名/発表者名
      Mutsumi Matsumoto and Kota Sugahara
    • 雑誌名

      The Annals of Regional Science

      巻: 59 ページ: 419-426

    • 査読あり

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公開日: 2018-12-17  

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