研究実績の概要 |
Ⅰ.Advances in Local Public Economics - Theoretical and Empirical Studies -, Kunizaki, M., Nakamura, K., Sugahara, K., Yanagihara, M., Springer 2019.の刊行に編者として関わり,以下の各章の執筆を担当した。 1.Neutrality of Intergovernmental Transfers (Chapter 5, with Shinozaki, T., Kunizaki, M.) 3段階政府構造モデルにおいて,政府間の垂直的租税外部性について考察した。また,3パターンの財政移転のいずれもが同様に垂直的外部性を内部化できるという財政移転メカニズムの中立性を発見した。 2.Searching for a Soft Budget Constraint: The Case of the Intergovernmental Transfer System in Japan (Chapter 6) 中央政府と都道府県の間のソフトな予算制約問題について理論モデルに基づいた実証分析によって検証した。分析結果より,日本の地方交付税制度においては,中央政府によるbailoutは確認されるものの都道府県のcommon pool行動は見られないことを明らかにした。 3.Linkage Between Benefit Expenditures and Premium Burdens: Long-Term Care Insurance in Japan (Chapter 17, with Nakazawa. K., Kunizaki, M.) 日本の市町村のデータを用いて1人あたり介護給付費と第1号介護保険料との連結性について実証分析によって検証した。分析結果より,国からの調整交付金によって連結性は低くなり,給付費にリンクした保険料引上げが行なわれていない可能性を示唆した。 Ⅱ.日本財政学会第75回大会にて,Searching for a Soft Budget Constraint: The Case of the Intergovernmental Transfer System in Japanの改良版を研究発表した。Dynamic panel推定によると,中央政府によるbailoutは確認されるものの,都道府県はcommon pool行動ではなく,漸増主義的な行動を取っていることが明らかとなった。
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