研究課題/領域番号 |
16K03723
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
浦坂 純子 同志社大学, 社会学部, 教授 (70289338)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | NPO / 社会貢献活動 / キャリア / 就業意識 / 多様化 / ワークライフバランス / ゆとり教育 / 転職 |
研究実績の概要 |
これまでのNPO・社会貢献活動の蓄積を次世代に引き継ぎ、さらに裾野を広げることが、人々により豊かな働き方、生き方の機会を与えることにつながるのではないかという問題意識から、本研究では、NPO・社会貢献活動がキャリアの選択肢としてどのように位置づけられるようになったのかを明らかにし、誰もが自らに適した形で参入できるようにするための環境整備を議論することを目的としている。 本年度は、2017年度にインターネットを通じて実施した若者を対象とする「大学生活と仕事に関するアンケート」から得られたデータを分析し、前年度に日本キャリアデザイン学会での報告を経て、同学会の『キャリアデザイン研究』に投稿した2編の論文が採択されるに至った。 これらの論文から得られた知見を踏まえ、「ゆとり世代」と呼ばれる若者の従来とは異なる就業意識やキャリア形成が、ゆとり教育の内容に起因するのではないかという問題意識から、新たに「就業状況に関する調査」をインターネットを通じて実施した。調査対象には、国内の4年制大学を卒業し、海外で1年以上の教育を受けておらず、現在国内で収入に伴う職に就いているという3条件を設定し、最終的に3094名の回答を得た。内訳は、ゆとり世代(22~32歳)が2062名、対照群(33~38歳)が1032名である。 暫定的な分析結果から、ゆとり教育に適応できた者は、従来型の企業組織にも親和性を持ち、かつ自律的なキャリア形成も可能であるが、ゆとり教育に適応できなかった者は、組織人としても未熟であり、自律的なキャリア形成にも難があるという二極化が見られることが分かった。このことは、ゆとり世代を一括りにすることの危険性を示唆しており、そのイメージは、ゆとり教育に適応できなかった者が悪目立ちすることによって形成されていると考えるのが妥当である。 今後、より分析内容を精緻化し、公表につなげていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に投稿を果たした論文2編が、査読を経て学会誌への掲載に至ったことに加え、新たなインターネット調査「就業状況に関する調査」を迅速に実施し、分析の目途が立ったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度が当該研究課題の最終年度となるため、これまでの研究成果を総括した上で、議論にあたって欠けている部分を補うデータを入手するための大掛かりな調査を再度実施することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究課題の最終年度にあたる次年度に、再度大掛かりな調査を実施することを計画しており、そのために一定の予算を振り向けたため。
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