地球温暖化問題の気候変動枠組条約締約国会議(COP-FCCC)に見られるように、経済主体(国家)全ての合意を要する協定締結は非常に困難である。他国との協定締結には交渉過程においてさまざまな調整費用を要するが、そうした費用の有無が安定的な提携構造そのものを規定し得ることが本研究で示される。この結果は環境経済学や租税競争理論など経済理論への貢献だけではなく、国際的な地球温暖化に関わる環境制度設計や租税競争に直面しているEU の法人税率協調政策やTPPのような多国間自由貿易協定など、さまざまな多国間協定の制度設計にも有益な指針となるものと思われる。
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