2016年度は、医療費助成の実体調査について、全国1741市区町村全ての調査を開始し、2017年度までに終了した。慢性疾病を抱える子どもたちに対する国の支援施策である小児慢性特定疾病対策における登録データと比較して、乳幼児医療費助成制度の違いが小児慢性特定疾病登録に影響を及ぼす可能性があるかについて検討を行い、外来診療における医療費の自己負担金額と非常に弱いが相関する可能性が示唆された。また死亡件数との比較においては、医療費助成制度の違いが死亡数という重大アウトカムと相関するということは言えないようであった。 過去115年分の人口動態統計データから、健康指標の一つである5歳未満死亡に関する都道府県別格差について検証を行い論文化した。 小児慢性特定疾病登録データについて、当該登録データの中で登録件数の多い代表的な疾患について、登録格差について評価を行ったところ、内科的疾患については地域毎の登録格差が少ない一方で、外科的疾患についてはやや登録格差が大きくなる傾向があることが分かった。 神奈川県国保レセプトデータを利用して、公費負担の実施状況について検証したところ、疾患毎に差異が認められたが、1型糖尿病についてはインスリン治療が行われている症例のうちの6割前後において、小児慢性特定疾病が利用されていることが示唆された。ただし国保加入者にバイアスが存在していることから、本検証の結果の解釈には注意が必要であると考えられた。
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