新興国への資本流入に対応する政策について、金融政策等の既存の政策では不十分であるという認識がIMFを含めて一般的に共有されつつあり、これまでのオーソドックな政策ではない、資本規制やマクロプルーデンス政策といった、新たな政策対応が求められている。こうしたことを背景に、資本規制やマクロプルーデンス政策の理論研究のフロンティアを拡大する分析を中心に研究を進めてきた。
昨年度の「今後の研究の推進方策」に記述したように、本来は、昨年度が本プロジェクトの最終年度であったが、社会情勢により研究成果の報告が一部できない状況で年度を終えることになったため、本年度についても、本プロジェクトについて研究成果の報告を行った。
また本年度は、加えて、世界的パンデミックが新興国経済に与えるマクロ的な影響についても、分析を行った。特に、コモディティ価格の急激な変動は、コモディティ輸出国の経済に大きな影響を及ぼすもので、これについて実証分析を行った。具体的には、アジアにおけるコモディティ輸出国に注目して、コモディティの世界市場価格と各国の輸出シェアから、各国が直面する個別のコモディティ輸出価格指数を算出し、コモディティの世界市場価格がどのように各国のマクロ経済に影響を及ぼすかを分析した。
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