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2017 年度 実施状況報告書

異種類の金融市場間における動学的依存関係:コピュラを用いた実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03746
研究機関大阪府立大学

研究代表者

立花 実  大阪府立大学, 経済学研究科, 准教授 (70405330)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードコピュラ / 株価 / 為替レート
研究実績の概要

株式市場は国際間で強い依存関係があることが知られている。平成29年度はこの国際的な株式依存関係を考慮した上で、株価と為替レートの間にどのような関係があるのかを検証した。株式市場と為替市場の関係を説明する理論としては2つの枠組みが存在する。一つは国際貿易理論に基づく関係、もう一つはポートフォリオ・バランス理論に基づく関係である。しかし両理論はあくまで国内要因に基づいた株価と為替レートの関係を説明するにとどまる。先述したように、現実の国際金融市場には国際間で強い依存関係があり、その関係を考慮することなしに株価と為替レートの関係を評価しようとすると推定値にバイアスが生じる可能性がある。そこで、本研究では米国株式市場を世界の株式市場を代表する変数と仮定したうえで、米国の株式収益率およびある国の株式収益率と通貨収益率の3変数からなるコピュラ・モデルを構築し、2つの理論で説明可能な株価と為替レートの関係を推定するという試みを行った。対象国は22カ国である。分析の結果、以下の点が明らかになった。まず、米国の株価と分析対象国の株価あるいは通貨価値の間には正の強い相関が見られた。その結果、米国株式市場の影響を取り除いたうえでの分析対象国の株価および通貨価値の間の相関は、影響を取り除かないケースと比べて低くなることが示された。これは国際的な株式市場の依存関係を無視して株価と為替レートのみで分析すると、その関係性の推定値には正のバイアスが生じることを意味している。この分析結果は既存の関連研究の結果が変わる可能性を示唆している。また、本研究の分析結果は比較的多くの国における複数の金融市場間の関係を明らかにしているため、国際投資家や政策担当者にとって有益な情報を提供するだろう。さらに平成29年度後半からは、株式市場と国債市場の関係にも焦点をあてた分析も行った。当研究は現在も進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度は予定通り、株価と為替の関係に関する分析を掘り下げることができたため。さらに株価と国債との関係についても研究にとりかかることができたため。

今後の研究の推進方策

平成30年度は29年度に途中まで取り組んだ株価と国債との関係についてさらに分析を進める予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Safe-haven and hedge currencies for the US, UK, and Euro area stock markets: A copula-based approach2018

    • 著者名/発表者名
      Tachibana Minoru
    • 雑誌名

      Global Finance Journal

      巻: 35 ページ: 82~96

    • DOI

      10.1016/j.gfj.2017.07.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Relationship between stock and currency markets conditional on the US stock returns: A vine copula approach2017

    • 著者名/発表者名
      Tachibana Minoru
    • 雑誌名

      Discussion Paper New Series, School of Economics, Osaka Prefecture University

      巻: No.2017-4 ページ: 1-36

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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