研究課題/領域番号 |
16K03748
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
河西 卓弥 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20516992)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | バイアウト・ファンド |
研究実績の概要 |
本研究は、バイアウト・ファンドの機能を実証的に分析することを目的としている。大きく二つの目的があり、一つ目はバイアウト・ファンドのターゲット選択に関する分析であり、二つ目はターゲット企業の事後的な行動・業績にバイアウト・ファンドが与える影響に関する分析である。 ターゲット企業の事後的な行動・業績にバイアウト・ファンドが与える影響に関する分析の一つとして、経営陣による企業の買収であるMBO(マネジメント・バイアウト)のうち、非公開化型MBOに焦点を当て、分析を行っている。MBOによる株式非公開化が買収後のパフォーマンスに与える影響について分析を行ったところ、以下のようなことが明らかとなった。 まず、全サンプル企業による分析では、MBOによる非公開化で売上高成長率の上昇が見られたが、ROAなど他のパフォーマンス指標ではポジティブな効果は見られなかった。次に、バイアウト・ファンドが関与する案件と関与しない案件の比較を行ったところ、バイアウト・ファンド非関与案件に比べ、ファンド関与案件では売上高の増加による総資産回転率の上昇という効率性の改善が見られた。 バイアウト・ファンドはブロック・シェアホルダーとして投資先企業に対するモニタリングを行うため、非公開化前に見られたエージェンシー問題が、MBOによる非公開化によって緩和された結果と考えることができる。また、ファンドがそれまでの投資活動で培ったファイナンスやM&A等に関するノウハウの移転を通じ、効率性の改善に貢献した可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
交付通知が10月にあったため、交付通知前に設定していた計画の修正が難しく、申請時に提出した研究計画通りに研究を行うことができなかった。 バイアウト・ファンドがターゲット企業の事後的な行動・業績に与える影響の分析に関しては、分析結果をいくつかの学会・研究会において報告しており、そこで得られたコメントを踏まえ、サンプルの追加、実証モデルの修正を行っている。 バイアウト・ファンドのターゲット選択に関する分析に関しては、関連文献のレビュー、分析サンプルの選定、データ収集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
バイアウト・ファンドがターゲット企業の事後的な行動・業績に与える影響の分析に関しては、学会・研究会で得たコメントを基に修正を行っており、修正後に学術誌への投稿を目指す。 バイアウト・ファンドのターゲット選択に関する分析に関しては、引き続き、関連文献のレビュー、実証モデルの検討、分析サンプルの選定、データ収集を行った上で、実証分析を行い、秋季の学会・研究会での報告を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付通知が10月にあったため、交付通知前に設定していた計画の修正が難しく、申請時点において初年度に購入を予定していたデータの購入ができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
分析に必要な財務、株価データの購入を早期に行う。
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