研究実績の概要 |
本研究の目的は,長寿リスクの分析に向けた新た死亡率予測モデルの構築とその長寿リスク評価への応用である.今年度は,死亡率,住宅価格,金利の3つの要因が変動するという多変量リスクの枠組みにおいて,ベイジアン・プライシングの理論を展開し,それをオーストラリアのリバース・モーゲージの評価に応用した.この研究結果を論文にまとめ,学術雑誌に掲載した(Multivariate Risk-Neutral Pricing of Reverse Mortgages under Bayesian Framework, Risks, with Jackie Li and Jia Liu).また,Age-Period-Cohortモデルが抱える識別性の問題に対処する新たなアプローチとして,のAge-Periodモデルの代表的な手法であるLee-Carter modelとAge-Cohortモデルを組み合わせるモデル統合を考察した.まず,頻度論の立場からAICを加重とするモデル統合を論じた.続いて,各モデルの事後分布によって加重統合するベイズアプローチについて考えた.また,関連する発表(Covariate Shift Adaptation for Predicting Health Care Costs)をアジア太平洋リスク保険学会(Asia-Pacific Risk and Insurance Association)及び日本保険年金リスク学会で報告した.アジア太平洋リスク保険学会では,本研究の昨年度の成果である論文(A Bayesian Pricing of Longevity Derivatives with Interest Rate Risks Asia-Pacific, Journal of Risk and Insurance, with Takahiro Fushimi)に対して,Best APJRI Awardを授与された.
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