本研究の意義は以下の二点にある。第一に、マクロショック時における中小企業に資金繰りに関して、中小企業のマイクロデータを使って実証的に分析した点である。日銀短観の資金繰り判断DIなどに代表されるように、ショック時の資金繰りは研究者や政策担当者から常に関心がよせられている。しかし、中小企業の資金繰りの悪化について、マイクロデータにより十分に分析されていない。第二に、豊富な政策的なインプリケーションを含む点にある。マクロショック時において中小企業に対して様々な政策的な金融支援が実施されている。しかし、これらの政策はショックの影響が終了しても継続する傾向があり、過剰な政策が講じられている可能性が高い。
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