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2018 年度 実施状況報告書

資本市場に整合的な期間構造のある資本コスト推定の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03755
研究機関明治大学

研究代表者

乾 孝治  明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (60359825)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード資本コスト / ESG / リスクプレミアム / ガバナンス / 情報漏洩
研究実績の概要

今年度は最終年度にあたる年で,当初の計画では研究成果としてまとめることが求められていたが,資本コストの分解については思うように進んでいない.その理由については後述のとおりである.
ただし,昨年度に続き,本研究のために入手したESGデータを利用した関連研究についてはいくつかの真翌が見られた.昨年度はBloombergのESGデータを利用して資本コストの要因分解を試みたが,本年度は東洋経済新報社のCSRデータを利用した分析を行った.実リターンとの関係性を実証的に分析した結果,いくつかの変数との関連性は確認できた.しかし,資本コストを説明できるリスクファクターを合成するために必要な,ESGスコアを算出するモデルを構築するには至らなかった.安定的に強い関係性を示す変数はごく僅かであり,ESGを代表すると見なすのは無理があると判断した.
一方,資本コストは当該企業全体としてのリスクエクスポージャに依存して決まるはずであるが,その全体を対象とはせず,寄り具体的なリスク事象との関係性に注目した分析を実施した.すなわち,資本コストにも影響を与える具体的な企業事故の発生確率と,ESGデータの中でもガバナンスに関わる変数が,有意な関係性を持つか否かについて調べた.その結果,情報漏洩インシデントの発生とCSRデータ(主にガバナンス項目)には強い関係性が認められることを確認し,その実証分析結果については,情報処理学会等で発表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本来であれば,個別企業の資本コストについて期間構造を想定したモデリングを行った上で,ESG要因を含めたリスク要因分会を実施し,個別企業の資本コスト構造を要因別に分会して比較する予定であったが,達成できていない.主な理由として,マイナス金利に整合的な金利期間構造モデルの検討に時間を要したことが挙げられる.また,ESGデータ分析については,ESGスコアリングモデルを構築し,個別企業をランキングすることでミミッキングポートフォリオを作成し,ESGリスクファクターを市場データから逆算する方針としているが,個別株式投資収益率を非説明変数とする場合には,スコアリングモデルとして十分なモデルを推定できていないため,この点についても再考の必要がある.

今後の研究の推進方策

まず,金利モデルについては,無裁定条件を満たすモデリングをあきらめて,統計的な方法で推定する方針に切り替えることで対応するつもりであるが,すでに当初予定した研究機関も超過していることから,より単純に期間構造を想定せずに資本コストを推定し,ESG要因分解のみを目指すことも選択肢としたい.
一方,ESGスコアリングモデルについては,株式投資収益率との関連性について調べてきたが,これについても,資本コストとの関係を直接的に評価することで,より頑健なスコアリングモデルを構築できる可能性があるため,そのような対応を図りたい.

次年度使用額が生じた理由

研究成果について学会発表を予定していたが,予定していた学会に論文作成が間に合わず,内容を精査したうえで次年度に発表することとして,予算を持ち越すこととした.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 個人情報漏洩の損害額の新しい数理モデルの提案2018

    • 著者名/発表者名
      山田道洋,菊池浩明,松山直樹,乾孝治
    • 雑誌名

      研究報告マルチメディア通信と分散処理

      巻: DPS-174 ページ: 1-7

  • [雑誌論文] 経営マネジメント状況による情報漏洩インシデント削減効果の評価2018

    • 著者名/発表者名
      山田道洋,菊池浩明,松山直樹,乾孝治
    • 雑誌名

      研究報告セキュリティ心理学とトラスト

      巻: SPT-29 ページ: 1-6

  • [学会発表] 経営マネジメント状況による情報漏洩インシデント削減効果の評価2018

    • 著者名/発表者名
      山田道洋,池上和輝,菊池浩明,乾孝治
    • 学会等名
      情報処理学会 第82回研究会

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公開日: 2019-12-27  

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