研究課題/領域番号 |
16K03758
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
秦 劼 立命館大学, 経済学部, 教授 (40329751)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 後悔 / 証券投資 / 感情 / 神経経済学 / 行動ファイナンス |
研究実績の概要 |
本年度は、感情と意思決定の関連に関する資料収集を行った。また、後悔が証券市場に与える影響について予備的な分析を行った。 感情と意思決定の関係は、経済学では長い間無視されたものの、神経学と心理学などの分野で研究が行われてきた。2000年代に入ってから後悔に関する研究が盛んになり、特に神経学と心理学の分野では多くの実験が行われた。後悔と意思決定に関する理論研究も数がまだ少ないものの、行動経済学と神経経済学の分野で行われた。今年度は、関連論文と資料を収集して整理した。後悔に関する最新の実験研究の結果、および後悔と意思決定に関する理論研究を中心に、先行研究をサーベイした。本研究の理論的土台と学術的に位置づけをより明確にした。 さらに、本年度は心理学や神経学の研究成果に基づき、後悔回避を証券投資の理論モデルに取入れるための予備的な分析を行った。現実の証券市場では投資家達は間違った決定を後悔し、また将来後悔しないように行動する。しかし、標準的なファイナンス理論では、証券取引と価格形成に関するモデルは合理的な投資家を想定し、後悔の影響を考慮していない。そこで、後悔回避的な投資家の行動を分析し、市場価格等への影響を考察するために、今年度は、新しいモデルを構築するための予備的な分析を行った。具体的には、後悔と証券投資をモデリングする際の基本的な枠組みの構築、証券市場の分析に適するような後悔関数の考案、均衡の定義などの作業を行った。 今年度は、上記の研究に通して、本研究の理論上の突破口を探索し、モデルの大枠を定めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度に取り込む予定の課題をおおむね解決できた
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、後悔が投資家の投資行動および証券市場の均衡価格に与える影響を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究では、CPU負荷の大きい計算が必要ではなかったので、高性能のデスクトップ・パソコンを購入しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の進行状況を見計らって、H29年度もしくはH30年度に、数値計算等を行うための高性能のパソコンを購入する。
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