研究課題/領域番号 |
16K03760
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
播磨谷 浩三 立命館大学, 経営学部, 教授 (90347732)
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研究分担者 |
尾崎 泰文 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (10359896)
冨村 圭 愛知大学, 経営学部, 准教授 (40547444)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地域金融 / 地域経済 |
研究実績の概要 |
地域金融機関の競争環境が地域経済にどのような影響を与えているのかについて、「経済センサス」の市区町村ベースのデータを用いて検証を行った。結果、競争度が低い地域ほど、開業率は高く、廃業率は低い傾向にあることが確かめられた。これらの分析から明らかにされた内容は、地方における地域金融機関の存在意義を示すと同時に、貸し手の競争度の高まりは決してリレバンに寄与しないことを示唆する先行研究で明らかにされている内容と整合的である。 また、本研究課題の中間報告を兼ねた共同研究者との研究会を外部の研究者も招いて昨年末に開催し、各々が北海道、大阪府、沖縄県における地元金融機関の再編の変遷や店舗展開の変化と地域の景況との関連について検証した内容を報告した。それぞれの分析対象期間が必ずしも統一されていないなどの課題が残されているものの、業態の範囲を変えることにより結果が相違する点など、各地域で異なる傾向が明らかとなり、地域金融の問題の多様性が裏付けられた。 その他、地域銀行の再編の効果について、仮想的な合併が費用節約的となるか否かを実証的に検証した。結果、1県に1行という再編を想定した場合、ほとんどの地域で費用節約な効果が認められることが確かめられた。範囲をもう少し拡大し、1地域に1行という再編を想定した場合についても同様の効果が確かめられた。同じ分析アプローチについては、信用金庫にも拡張することを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国を対象とした主たる研究課題の成果については、書籍に所収の論文として公刊することができた。また、北海道に限定した事例検証の成果についても、海外の査読付専門誌と共同研究者の所属大学の研究紀要に公刊することができた。その他、地域経済の問題については必ずしも考慮されていないものの、地域銀行の一層の再編がどのような効果を生むのかを仮想的な合併に基づいて検証した成果についても、海外の査読付専門誌に公刊することができた。 主たる研究課題の追加検証に必要な地域金融機関の店舗関連のデータベースの整理も順調に進んでおり、現時点でROM媒体で入手可能なものについては、作業を終了している。他方、国際比較に必要なデータベースの購入手続きは昨年度に終えたものの、分析に必要な整理については十分な時間を割くことが出来なかったため、当初の計画よりも進展が遅れている。また、特定地域の事例研究についても、北海道を除く2地域における分析が相対的に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、主たる検証課題である全国の市区町村ベースの地域金融機関の競争環境と地域の景況との関連について、分析内容を論文としてまとめ、海外の査読付専門誌への投稿を目指す。合わせて、国際比較に用いるデータベースを早い段階で整理し、仮説の設定と検証を行う。また、昨年末と同様、中間報告を兼ねた共同研究者との研究会を外部の研究者も招いて夏期休暇期間中か年末に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた共同研究者との打ち合わせが相互の所用の関係で延期となったため、旅費が残ることとなった。この金額は、英文校正費と投稿料として支出することを予定している。
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