最初に、アフリカにおける金融グローバル化の実態を把握するため、直接投資、ポートフォリオ投資、銀行信用から送金、援助に至るまで、資本流入別の動きをとらえ、各国におけるマクロ経済の動向や一次産品価格の変動との相互関係を明らかにした。 金融グローバル化が経済成長に貢献しうるのかを考えるうえで、国内金融の発展に関して閾値を設定し、金融統合と経済成長が非線形関係にあると仮定した論文は、外生的に閾値を導出するのでなく、内生的に導出する論文へと書き直し、現在論文投稿の準備に入っている。 次に、フランスAix Marseille UniversityのGilles Dufrenot教授と共同研究の形で、金融グローバル化は技術生産性を押し上げるのか、実現可能な産出量水準そのものを上げることでアフリカ諸国の生活水準を向上させ、貧困削減に貢献しうるかを検証し、International Atlantic Economic Societyのアテネ学会やアジア経済研究所(申請者が発表)、神戸大学や大阪学院大学のワークショップ(共著者が発表)などで発表させていただき、現在論文投稿の準備段階にある。 最後に、大阪学院大学の松木隆教授と共同研究の形で、2008年の国際金融危機以降に実施された日本とアメリカの金融政策(量的緩和策や正常化)が、アジア株式市場やグローバル株式市場との連動性をどう変えたかを、金利や当座預金残高など政策変数とスピルオーバー指数との関係を示すことで明らかにした論文は、 Journal of the Japanese and International Economiesに採択された。そこでアフリカにおけるいくつかの株式市場の日次データを最新まで拡張し、先進国の金融政策変数との関係をとらえることを試み始めている。
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