研究課題
西アフリカ地域は、植民地化によって宗主国が形成した通貨圏で分断されることになった。独立後は、旧英領や旧葡領は独自の通貨を発行したが、旧仏領の大半は植民地時代の通貨制度を概ね維持することを選択した。21世紀に入り、西アフリカ全体で一つの共通通貨を創設する取り組みが始まったが、フランスと通貨協力をしている地域は、それが原因で、第3国との通貨統合が困難な状況にある。申請者は19世紀から21世紀までの仏領西アフリカの通貨と金融制度の変遷を、国際的な金融制度の変化等も踏まえて研究をしているが、本研究では、これまでの研究でカバーできていない1901―94年期間の(旧)仏領の発券銀行および地域中央銀行の制度・オペレーション・操作勘定等の動きをフランス銀行等の史料に基づいて明らかにすることを目的としている。初年度となる今年度は,セネガルの文書館およびフランスマルセーユの商業会議所・文書館,パリの文書館を訪問して資料収集にあたった。そのための旅費および資料収集に用いるデジタルカメラ,タブレットを購入した。また,10月中旬にサセックス大学で開催されたアフリカ経済史ネットワークで発表した。それにあたり英文校閲費,発表パワーポイント英文校閲費,参加のための旅費に本科研費を充てた。発表論文は発表後に手を加えてディスカッションペーパーとしてまとめた。ディスカッションペーパーにすぎないがElzevier社のSSRNに掲載していただき,doiも取得した。これ以外に研究に必要な書籍やオンライン論文ダウンロードのための費用,消耗品購入のための費用を本科研費から拠出した。後期以降は,夏の調査で収集した資料の読み込みを中心に行った。
3: やや遅れている
前年度までの科研費の研究(延長)および分担研究者として受けた科研費研究にエネルギーを向ける必要があった。また,西アフリカの社会経済を明らかにすることを目的に以前から行っていたセネガル発祥の宗教団体に関する研究に対して外部の機関から発表要請があり,口頭発表および英文論文を刊行する必要があった。以上の理由より,当初考えていたほどには本研究を進めることができなかった。
今年度は,前年度に投稿した論文の書き直し,書籍の執筆の継続,収集した資料の読み込みを行う予定である。
希望するスペックのノートパソコンが今年度中に発売されなかったこと,また,今年度は分担研究あわせて4つの科研費に恵まれ,これに加えて他大学の予算で本研究とは全く異なる内容の西アフリカの研究を行うこととなったため。
翌年度は,国際共同加速基金の研究を本格的に行う年となりこちらに注力することとなるが,平行して関連書籍の購入,史料の整理のための電子機器,文具等の購入に充てる予定としている。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Discussion Paper Series, 29, Faculty of Economics and Management, Institute of Human and Social Sciences, Kanazawa University
巻: 29 ページ: 1-20
http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.2860669
http://toyomumasaki.w3.kanazawa-u.ac.jp/
http://researchmap.jp/read0063355/