• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

近代アジア経済における海域ネクサスの可視化分析:船舶出入港データの整備と応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K03772
研究機関名古屋大学

研究代表者

木越 義則  名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (00708919)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード海運 / 貿易 / アジア / 太平洋 / ネットワーク / GIS / 空間分析
研究実績の概要

本研究の目的は,英字新聞に掲載された船舶の出入港記録をデータベース化することによって,近代におけるアジア・太平洋地域における海運ネットワークの構造を解明することである。最後の19世紀的世界を示す1913年を中心とするデータベースを作成した。同地域における主要30港の記録を入力し,マイクロソフト社のソフトACCESSで総合的に整理を行った。復元された船舶の航行記録は約14万航海である。1913年の世界の船腹量の約30%を網羅した。この航行記録の距離と船舶の総トン数から,アジア・太平洋地域の海上輸送の構造について以下のような知見を得た。①東アジアでは世界的にみても最大級の海運ネットワークが形成されていた。とりわけ,横浜-神戸-上海-香港-シンガポールをつなぐルートの海運量は,年間500万総トンを超えるものであり,西ヨーロッパ,大西洋と比較しても遜色のない規模であった。②どの地域で見ても,域内海運の規模は域外海運よりも大きい,という事実を見出した。さらに国内海運の規模は,国外海運よりも大きい。以上の事実は,貿易統計を利用した海上交易研究とも符号する。本研究は,以上の事実から,近代における国際海運の意義を以下のように総括する。本研究は,従来の国際海運史における,国際競争,対外自立,帝国主義,カルテルという文脈を相対化した。すなわち海運を物流における中立的なインフラとしてとらえ,それがアジア・太平洋規模で形成された構造を解明した。そこから,次の事実を導き出した。国際海運は,国内海運の延長として存在していたのであって,国内海運の規模こそが,当該国,当該地域の国際海運の規模を規定した。つまり国際海運の発展は,国内海運の発展を前提とするものであった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] 從初級産品出口看中國近代市場轉型- 貿易條件指數,市場區域,工業化(中央研究院近代史研究所、台湾台北市)2019

    • 著者名/発表者名
      木越義則
    • 学会等名
      「近現代中國的多層結構分析」國際學術研討會
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 世界の海上ハイウェイ -近代に貨物はどこにどれだけ運ばれたのかー2019

    • 著者名/発表者名
      木越義則
    • 学会等名
      京都大学人文科学研究所「転換期中国における社会経済制度」共同研究班
  • [学会発表] 一次産品輸出から見た近代中国2018

    • 著者名/発表者名
      木越義則
    • 学会等名
      社会経済史学会(大阪大学、大阪府豊中市)
  • [学会発表] Constructing the Database on East Asian Trade in Modern Era2018

    • 著者名/発表者名
      木越義則
    • 学会等名
      海関与近代中国経済和社会:研究方法、档案及資料庫国際学術研討会(華中師範大学、中国武漢市)
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi