本研究は、近代アジアにおける船舶の航行記録をデータベースとして整理し、それを地理情報システム(GIS)で分析することによって、非欧米圏の世界貿易の構造を解明することを企図した。1913年のデータベースが完成した。データを分析した結果、東アジア地域には世界最大規模の海運網が形成されていたことを明らかにした。そして、アジアを4地域(中国、日本帝国、東南アジア、南アジア)に分けてマトリックス分析した結果、4地域内部での交易が、域外との交易よりも大きいことが明らかになった。つまり、ローカルな交易の規模が大きいほど、世界貿易との関わりも深いことが示された。
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