研究課題/領域番号 |
16K03774
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 彰 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (00275116)
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研究分担者 |
堀 一郎 追手門学院大学, 経済学部, 教授 (30113624)
黄 孝春 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (10234684)
菅原 歩 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (10374886)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 比較経営史 / 資源調達システム / 鉄鉱石 / 鉄鋼 / 総合商社 / サプライチェーン / 資源問題 / 資源メジャー |
研究実績の概要 |
本共同研究は,過去数十年にわたる国際商品の価格乱高下(スーパーサイクル)の前後での市場の変化,および鉄鋼原料サプライチェーンにかかわる諸企業の適応行動を国際比較経営史の視点から探究することを目的とする.その研究実施計画は,個別研究,研究会,フィールド調査からなる。 (1)個別研究において、とくに、田中は日本鉄源協会、日刊市況通信社による鉄スクラップ発生・流通データを新たに収集し、黄は国際商品デリバティブフォーラム(6月、上海)にて情報を収集した。中国の鉄鉱石事情については田中・黄が連名(8月、ノルウェー)で、鉄鉱石貿易の市場化については黄(11月、東京)が学会報告をおこなった。また、資源価格乱高下の前後での商社の行動については田中がワーキングペーパーをまとめた。 (2)研究会を2016年2月に弘前大学で開催し、個別研究の成果を報告した。その報告タイトルは以下のとおりである。田中「「鉄資源循環システム」をいかにとらえるか」、堀「USスチール社の鉄鉱石政策の展開――経営戦略と資源ナショナリズムの観点から」、黄「鉄鉱石貿易方式の転換」、菅原「1963年リオティント社と西オーストラリア州政府の契約内容の検討」。 (3)フィールド調査については、田中・堀が米国南部および中西部の製鉄所、商社・コイルセンター、鉄鋼需要企業を(9月)取材した。国内では田中がリサイクル関連施設を中心に取材し、4名全員で秋田県の総合的金属資源リサイクル産業を(3月)取材した。 これらの研究成果は、川上における鉄鉱山開発、鉄鉱石先物取引から川下の鉄鋼需要産業の設備投資状況、鉄スクラップ流通まで、鉄資源のサプライチェーンの全体を包括するものであり、頭書の研究目的にとっての直接的対象である鉄鋼企業の調達行動をより広範なエコシステムのなかにおいて分析するうえでの重要なステップとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果は上に示した通りであり、着実に前進している。研究会は主に予算の都合で1回しか開催できなかったが、研究の目的に照らして十分な進捗状況である。とくに、個人研究において、情報収集と並行して学会報告や論文執筆が進んでいることが重要である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度も28年度と同様に、個別研究、研究会、フィールド調査を実施する。 個別研究については以下のとおりである。①田中は引き続き、バージン材とリサイクル材の動向を統合的に調査・分析する。②堀はUSスチール社の資源多元化戦略について研究を進める。③黄は中国でのフォーラムに参加する。④菅原は長期契約システム形成過程の詳細をリオティント社の視点から解明する。 研究会は11月頃に東北大学で実施する予定である。また、7月にオーストラリアで連名の学会報告をおこなうことが決定しており、このほか国内学会でのパネル組織を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者・黄孝春の研究計画において、2017年度にオーストラリア中国経済学会(パース)に参加するための費用を確保する必要があったため。また、プロジェクト研究会が地元弘前で開催されたため、国内旅費が節約できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年7月、オーストラリア・パースでの学会発表・現地調査、および9月、中国・青島での鉄鋼原材料国際フォーラム出席のための参加費・旅費に充当予定。
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