研究実績の概要 |
ケンブリッジ大学フィッツウイリアム博物館で、87枚のトレーに収納されている計3,177枚の朝鮮貨幣データベースを作成した。朝鮮通寳以外は37枚のみで、99.9%は常平通寳であった。デンマーク国立博物館ではブラムセンコレクションの調査を再度実施し、金貨・銀貨を含む全品の写真撮影を行い、ほぼ全容を把握したが、データベースの完成は2019年度になる。ブラムセンは銭譜類もかなり所有しており、比較のために日本銀行貨幣博物館で、寛永銭譜などの調査を実施した。ブラムセンコレクション118枚については一覧表を完成させ、英語版にして博物館に提出した。ベトナムのハティンでの調査を継続実施し、カムズエ一括出土銭の調査をほぼ終えた。これには長崎貿易銭や寛永通寳も約5%含まれていた。 北海道松前町と函館市で出土銭貨と箱館通寳に関わる資料の調査を行い、鹿児島県喜界島では出土銭を実見調査した。また、埼玉県蓮田市新井堀の内遺跡の一括出土銭を埼玉県埋蔵文化財センターで実見した。北九州市新馬場遺跡から出土した常平通寳2枚について、新たに借り出し、金属組成の分析を実施した。長崎市出島出土の貨幣については報告書の原稿を執筆した。熊本県益城町の砥川古銭については、寛永通寳を主体とした合計15,801枚であることを確認し、約1,000枚については重量・外径・孔径を計測し、採拓した。本資料は幕末・明治初期に貯め込まれたものと推測できるとの調査報告書を執筆した。 2019年1月にはAAWH国際学会(大阪大学)で、英語での報告を行った。2018年11月に淑徳大学でヤンコフスキー女史を招聘して、朽木昌綱に関する研究会を開催した。また、ディープラーニングによる画像解析について、今年度は北宋銭の元豊通寳・元祐通寳・元符通寳三種の判別が可能であるかについて研究・報告をした。
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