研究課題/領域番号 |
16K03795
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
金城 亜紀 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (00636946)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 担保 / 倉庫 / 動産 / 製糸 / 産業金融 / 地方銀行 |
研究実績の概要 |
本年度の主要な研究実績は、論文を2件刊行し学会発表を2件行ったことである。論文はこれまでの研究を、学術的水準は落とさずに、金融史・経営史の専門家でない方にも興味が湧くように整理し、本研究の意義が広く理解されることを目指した。具体的には、①本務校が刊行した英文テキストKaleidoscopic Views of Japanに経営学の観点で製糸金融の発展過程について執筆したJapanese Managementと②学習院女子大学紀要 21に掲載したMerging Law and Business History: Case Study in the Development of Collateral in Japan at the Turn of the 20th Centuryである。①の論考は、今後授業の教材としても活用する予定である。②の論考は、新たに「担保史」という研究分野を確立することに役立てたい。学会では、(1)国際学会European Business History Association 23rd Annual Congress Rotterdam (2019年8月31日)でCreativity in Finance: How it propelled the Japanese silk industry to become No.1 in the world, 並びに(2)進化経済学会(2019年7月6日)で「諏訪の製糸金融にみる銀行業と倉庫業のアンバンドリング」を発表した。(1)国際学会での反応は予想以上に良く、有意義な議論ができた。欧州での学会報告は今回が初めてである。(2)はローマ法、法制史、フランス経済史、日本経営史の専門家らで構成される担保史研究会のメンバーで報告とパネルディスカションを行ったものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画で予定していた原史料に基づく分析は概ね終了しているものの、その成果を学術論文としてまとめるに至っていない。その理由は、学科主任としての校務が想定以上に増えたためである。さらに、第4四半期はコロナ禍のために出張もままならない状況となり、研究の進捗が妨げられた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の遅れを取り戻すため、研究実施期間を1年延長し研究成果を学術論文としてまとめたい。日本語の論文に加え、国際学会でのディスカションを踏まえ、国際ジャーナルへの投稿を目指す。2020年度は東京大学社会科学研究所に私学研究員として在籍するため、研究環境は一層充実する見込みである(ただし、現在はコロナ禍の影響で研究所への立入を制限されている)。今後の研究を推進できないリスクとしてコロナ禍の第二波が襲来することが考えられるものの、研究内容自体は略完了しその成果をまとめる段階にあるため、大きな支障をきたす可能性は低いと思料する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、校務多忙のため研究計画に遅延が生じ研究実施期間を1年間延長することにしたためである。繰越した金額は比較的少額であり、ノートパソコン等の購入により充分年度内に消化できる見込みである。
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