研究課題/領域番号 |
16K03801
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
浅野 敬一 阪南大学, 経済学部, 教授 (30369946)
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研究分担者 |
河村 豊 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (10369944)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 史料調査 / 文献調査 / ワークショップ / インタビュー / データ収集 / 出版準備 |
研究実績の概要 |
1.研究コンセプトの検証と精緻化:研究会を継続的に開催することで、コンセプトの検証と関連する新たな研究の視点の発掘を行った。結果、旧軍関係エンジニアに付随する特殊な技術ストックの活用方法について、より詳細に検討する必要があると考えた。たとえば、当該技術が、民生分野で活用される場合にも、その活用方法や連続性はさまざまである。軍民転換という単純な図式ではなく、その内容が大企業型と「ベンチャー」型と主な担い手により分類できることがわかってきた。また、教育機関によるエンジニア養成についても、当時のエンジニア不足の状況や産業界の要請のみならず、学制変更をはじめとする教育制度の変化がエンジニア教育に与えた影響等に考慮する必要があると考えた。 2.社会調査的手法を中心とした研究方法の検討と試行:基本データをもとに分析方法を検討した。ただし、5.6.を優先させたため、本格的な分析は次年度以降とした。 3.分析対象資料の収集、整理:計画した資料の収集・整理を進めた。なお、研究の進展に伴い、大学関係文書(とくに旧工業専門学校の新制大学昇格問題に関するもの)の調査が必要と判明し、一部着手した。 4.インタビュー対象者の選定:インタビュー対象者の調査と選定を行った。 5.ワークショップの企画:1.の検討結果に加え、「軍産連携」に関する社会的議論が惹起されたことを踏まえ、河村がワークショップを企画、河村が報告、浅野がコメントを行った。 6.エンジニア教育に関する書籍出版の準備:教育機関によるエンジニア供給について、関連する研究と融合した書籍出版の準備に着手した。出版社が決まり、浅野ほか2名を編者に必要事項の精選と執筆者の選定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.史料の収集等については、ほぼ当初の予定通り進んでいる。また、新たに有用な史料(旧制工専の新制大学昇格に係る大学文書)を発掘し、その収集・分析にも着手することができた。 2.研究の過程で新たに着目した軍事技術と関連する人材・産業の関係について、ワークショップ(日本科学者会議群馬支部秋季セミナー「技術政策と軍事研究」(2016年11月20日、群馬県高崎市)を開催、河村が「防衛技術政策と軍事研究」と題し報告、浅野がコメントを行い、幅広い議論を提起することができた。また、浅野は、関連する内容について、学会発表(「軍産複合体の構成要素」アメリカ経済史学会第59回全国大会、2016年10月15日、阪南大学ハルカス・キャンパス)と研究ノート執筆(「軍産複合体の変化と継続」『阪南論集』第52巻2号、2017年3月)を行った。 3.書籍等へのとりまとめの開始は当初は30年度の計画であったが、エンジニア教育に関する部分については、28年度中に目途をつけることができた。 4.SMS調査等のデータ分析は、2.3.を優先させたために、29年度からの本格着手とした。 以上から、当初計画からの変更は一部生じているが、全体としては順調に研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1.SMSデータ等について、有用性を検証しながら分析を進める。とくに、学歴や出身教育機関と職歴や勤務先の関係が明らかになるよう留意する。 2.エンジニア教育に関する部分を集中的に推進し、早期の出版を目指す。そのうえで、ワークショップ等の開催により幅広く議論し、その内容を今後の研究に活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
電子資料の活用や他の用務との集約により、主に史料収集に係る出張回数と使用額が減少したため。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに大学文書の調査が必要になったため、主に旅費に用いる予定である。
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