研究課題
基盤研究(C)
本研究は江戸時代の越後十日町の越後縮問屋加賀屋の経営分析から、越後縮の大都市問屋商人との流通構造を明らかにするとともに、為替にて代金決済をおこなっているために,越後の大名との間で為替取引を行っていた。その為替が成立していく過程の仕組みを明らかにした。加賀屋は江戸呉服問屋大丸屋の買宿でもあったため、大丸屋との取引の仕組みを明らかにした。作業は連携研究者とともに十日町市情報館に所蔵されている加賀屋文書をデジカメにて収集するとともに、マイクロフイルムにて提供された文書のスキャンを行った。
近世商業金融史
越後十日町の越後縮問屋は江戸の呉服問屋のために越後縮を集荷し送荷するが、拘束性の強い買宿というかたちをとることが多い。それでも江戸以外の地域への広範囲の取引が可能であった。前貸し金や代金の決済には為替を用いていた。江戸から十日町への資金流通と相殺するために、長岡藩など江戸へ送金する大名の資金を受け入れた。為替取引量が次第に増大していき、加賀屋だけの送金にとどまらず、多くの資金を扱うようになるとともに、越後の国の多くの大名の江戸送金も扱うようになり、為替業者として成長していった。