研究課題/領域番号 |
16K03810
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中田 範夫 山口大学, 経済学部, 教授 (90146142)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 公立病院 / 財務業績 / 非財務業績 / 組織形態 / 看護配置 / BSC / 原価計算 / DPC |
研究実績の概要 |
公立病院の組織形態と財務業績の関係について病院の内部環境及びマネジメントの観点から調査・研究することが本課題の目的である。このためにこれまで次の3本の論文を発表している。①「公立病院改革の現状分析-組織・内部環境・マネジメント手法の観点から-」、②「公立病院における組織形態・内部環境・マネジメント手法と財務業績・非財務業績との関連性:規模に基づく分析」及び③「公立病院における組織形態・内部環境・マネジメント手法と財務・非財務業績との関連性-経営形態に基づく分析-」の3本である。 ①の論文は調査したデータを設問ごとに集計している。②と③の論文は①の論文をベースにして、さらに分析を加えている。すなわち、②では公立病院種類(市町村立病院、都道県立病院)を規模ごとに区分して(独立行政法人病院、組合立病院についてはデータ数が少ないため規模別には計算していない)医業費用収益率、平均在院日数、平均病床稼働率を算出し、それらに対して管理組織・コンサルタント・電子カルテ・看護配置・DPC・BSC・原価計算がそれぞれどれだけ影響を及ぼしているかを明らかにしている。③の論文では、②と同様な分析を経営形態の違いに基づいて実施している。 これら3本の論文によって本課題について当初設定していた目的はおおよそ達成できた。 続いて、上記のような研究成果を山口大学で小生が担当した授業(共通教育では「医療・環境と会計」『医学部の学生が受講』、学部授業では「医療マネジメント」および大学院修士課程「医療・福祉経営コース」の授業)の中で披露した。また、「医療・福祉経営コース」の現役生と修了生を対象にしてワークショップ(昨年12月15日)を開催し、そこでも披露した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の研究対象(範囲)は公立病院であった。この観点からの研究は終了している。現在は、公立病院を除くすべての病院を対象に研究を進めている。そうすることによって公立病院とそれ以外の病院との比較研究が可能になり、結果として公立病院の有するであろう特徴が明らかになるのではないかと推測したからである。 本年に行った研究は「病院(公立病院を除く)の現状分析-組織・内部環境・マネジメント手法の観点から-」としてすでに印刷状態にある。この論文をベースにして下記の「今後の研究の推進方策」に書いているような方向で研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年に行った研究は「病院(公立病院を除く)の現状分析-組織・内部環境・マネジメント手法の観点から-」としてすでに印刷状態にあるが、この論文をベースにして病院の種類ごとに内部環境・マネジメント手法と財務業績・非財務業績との関連性を明らかにし、最終的にどのような条件が財務業績・非財務業績に対して大きな影響を与えているかを明らかにする。 次に、3つの業績指標(医業費用収益率、平均在院日数、平均病床稼働率)間の相関関係を明らかにし、それらの業績指標間の関連性が我々の通常の経営感覚と一致しているかどうかを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来は平成31年3月31日に助成金を使い切っていなければならなかった。しかし、結果として次年度使用額が生じてしまった。 理由は2つある。まず、一つ目の理由は研究対象(範囲)を拡大したことである。この課題研究については申請時の対象は公立病院に限定していた。しかし、研究途中から公立病院以外の病院種類についても研究対象に含めてきた。後者の病院について郵送調査を実施ししたが、それを論文としてまとめるための十分な時間を確保できなかった。二つ目の理由は、小生は平成31年3月末日で退職したが、それにかかわる様々な時間を要する業務が生じたため課題研究のための十分な時間を確保できなかったことである。使用計画については次のように計画している。まず、旅費として約15万円を使用する。一つは「一般財団法人ヘルスケアICT推進会」のセミナー(東京都)への参加である。もう一つは「日本医療BSC研究学会」総会(愛知県犬山市)への参加である。もう一か所については検討中である。残りの約7万円についてはPCソフトおよび消耗品を購入する予定である。
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