公立病院の経営は少なくとも財務的数値からみるとそれ以外の病院の状況よりも著しく悪いと言われている。筆者の研究は、組織(2要因)、内部環境(4要因)そしてマネジメント手法(2要因)が、財務業績指標(医業費用収益率)と非財務業績指標(在院日数と病床稼働率)に影響を及ぼしているのではないかという仮説の下、平成28年度に公立病院に対して(「公立病院改革の現状分析-組織・内部環境・マネジメント手法の観点から-」)、そして平成29年度に非公立病院に対して郵送によるアンケート調査を実施し論文としてまとめた(「病院(公立病院を除く)の現状分析・・・」)。 当初の計画では公立病院のみを対象にしていたが、公立病院の特徴を明らかにするためにはそれと比較対象とすべき病院種類(非公立病院)をも研究対象にする必要があると考え、研究対象を拡大した。それらの調査を整理し、(1)公立病院については8つの要因のうちどの要因が財務業績指標(医業費用収益率)と非財務業績指標(在院日数と病床稼働率)により強く影響を及ぼしているか、並びに業績指標間の相関関係を算出した。公立病院の研究については経営形態に基づく分析(「公立病院における組織形態・内部環境・マネジメント手法と・・・-経営形態に基づく分析-」)ならびに規模に基づく分析(「公立病院における組織形態・内部環境・マネジメント手法と・・・:規模に基づく分析」)を行っている。前者は経営形態を地方公営企業法全部適用・一部適用、公務員型地方独立行政法人、非公務員型地方独立行政法人、指定管理者制度などに区分している。後者では公立病院を都道府県立病院と市町村立病院に区分し、それぞれを大規模病院・中規模病院・小規模病院に区分している。同様に(2)非公立病院についても公立病院について行った分析を適用した(「病院(公立病院を除く)における・・・-財務・非財務業績との関連性-」)。
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