研究課題
本研究は、ネットワークと制度が複雑に絡み合うことでイノベーションを生み出す市場のメカニズムに関して、その理論化と実証について考察を深めることを目的とする。組織フィールドとして、オーディオ産業、エシカル・ファッションなどの「創造的な産業」を対象とする。方法は、諸概念を統合的に応用し、ネットワーク分析による産業レベルでのマクロからの関係性の構造分析を行う一方で、その内容に関して、フィールドワークを含めたマイクロ・レベルでのコミュニケーションの分析により、アフィリエーション・ネットワーク、市場の評価原理、企業のコミュニケーション戦略の分析を行った。具体的な研究実績としては、可視化とフィールドワークのトライアンギュレーションの方法論により、ネットワーク分析、現象学、認知論、制度論などの諸概念を多角的に応用することで、様々に絡み合う組織間、組織内、組織フィールドにおける複雑なネットワークの関係性の社会構造が市場を形成していることが明らかとなった。そして、その制度化は、多様なグループのアクターが現場において共創することで、多様な文化のぶつかり合いが生まれ、クリエイティブ・インダストリーにおけるダイナミックな市場のメカニズムとして、「創造的な摩擦」からイノベーションを創出する重要な要素であると考えられる。これらの結果は国内外での学会発表及び日本語及び英語での論文及叢書として部分的に出版されたが、今後もこの研究を続け、その成果の発表を継続的に行い、学術及び実務において啓蒙活動を続けるものである。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Tsutomu Nakano eds. Japanese Management in Evolution: New Directions, Breaks, and Emerging Practices
巻: na ページ: 211-234
一橋ビジネスレビュー
巻: 66 ページ: 178-91