研究課題/領域番号 |
16K03827
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研究機関 | 愛知東邦大学 |
研究代表者 |
田村 豊 愛知東邦大学, 経営学部, 教授 (40340400)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生産準備 / 生産技術 / 製造技術 / 転写 / フィードバック機能 / 分業編成 |
研究実績の概要 |
本年度の調査は本調査の基礎となる事実の確認、また理論的な点での解明を要する論点を整理することを重視した。そこで準備調査としていくつかヒアリングなどを行なった。あわせて田村(本研究代表者)がこれまで進めてきた調査についてまとめ、成果を公表することで本研究の基礎とするよう準備を進めた。 まず事実の確認として、従来の調査では十分な検討がなされてこなかった製品設計情報が具体的実在の製品へとどのように転換するのか、この転換過程にどのように各企業、各工場の組織的な特性が存在するか調査した。調査では2社の2次自動車サプライヤーのエンジニアにヒアリングを実施した。また、工場での製造過程で実際にどのように製品情報を形成されまた修正されるのかを明らかにするために、自動車完成車工場の従業員にヒアリングを実施した。 ヒアリングにより、製品設計情報がものづくり情報へと転換する際には工程設計、作業設計の両領域でエンジニアが情報を収集し、ものづくりの実際の過程を担当する。2つの領域はどちらも個々の企業特性が高く、企業ごとのノウハウと呼びうると考えられ、海外進出のための基本情報となる点が確認できた。 これらの調査成果の一部は田村が執筆した「生産組織の日本的特徴とその移転可能性-国際比較による日本的生産方法を支える組織編成の検討-」、清日向一郎編著『日本自動車産業の海外生産・深層現調化とグローバル調達体制-リーマンショック後の新興諸国でのサプライヤーシステム調査結果分析』、社会評論社、2017年3月、337~367頁、にまとめた。 次年度の課題として、より正確に「生産準備」の位置づけと役割を明確にしていく必要がある。とくに本調査が課題としているアセアンでの工場立ち上げの過程を、現地工場でのヒアリングと日本工場との比較によって実証的に検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査を依頼していたアセアン地域の工場が需要の変動などで経営条件の変化があり、調査受け入れができなくなったことが大きい。また他の調査活動が最終年度を迎え、これら調査の結果を含め本研究との評価検討が必要となったため、時間的には遅れとなるものの慎重に調査を進めることとした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度を含め最終年度までの調査計画との関係では、調査進展の修復をするためにも、次年度は海外調査と国内調査の対象をしっかりと確定し、実質的な成果を獲得できる調査を進める必要がある。そのためにも調査内容については、予備調査にも十分配慮した調査手順が求められる。そこで次年度は関係領域の研究成果についても積極的に吸収を行い、精度の高い調査となるよう研究内容、研究過程についても追加検討を加えながら調査を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の調査を依頼していたアセアン地域の工場が自動車需要の変動などで経営条件の変化があり、調査先の調査受け入れができなくなったため、現地調査を取りやめざるをえなかった。また他の調査活動が最終年度を迎え、これら調査の結果を含め本研究との評価検討が必要となったため、時間的には遅れとなるものの慎重に調査を進めることとした。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに今年度から次年度に向けて、必要なヒアリング調査を行なっており、また次年度のアセアン地域での現地調査依頼を開始している。タイなどでの自動車需要の回復もあり、次年度はまとまった調査が可能であると考えられる。次年度の調査では初年度の費用を加え調査が可能であり、ヒアリング調査の回数を追加できることから、ぜひともマザー工場と海外現地工場とにあわせて調査を実施し、調査全体の充実を図っていきたい。
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