研究課題/領域番号 |
16K03827
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研究機関 | 愛知東邦大学 |
研究代表者 |
田村 豊 愛知東邦大学, 経営学部, 教授 (40340400)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生産エンジニア / 取引関係 / 製造技術 / 技術開発 / 生産準備 / 取引関係 |
研究実績の概要 |
本年度は9月、インドネシアでのヒアリング調査を重点的に行ない、工場の生産エンジニアの活動について裏付けをおこなった。調査工場は第2次メーカーを中心として、鍛造、プレス、樹脂関連の自動車部品日系企業であり、現地での工場調査、担当者へのヒアリングを行なった。 ヒアリングにより、日本からの工場移転のパターンは従来のとおり、日本で生産技術を育て、その実績の上に移転を行なっている。現地でのエンジニアの活動は、したがって、日本本社での生産設備について熟知し、かつその移転において変化・変更が生じた場合、それらの変化を正常へともどす対処ができる工場現場として能力=製造技術の能力がとりわけ重視されていることが明らかになった。 同時に、注目すべき点として、調査当該企業が進出先の現地でどのようなビジネス展開を図ろうとしているのか、ビジネス展開の点でも、進出後の状況変化への対応が技術移転、経営資源の移転において重要な考課項目になっていることが実感できたことである。すなわち、生産エンジニアの活動の領域を検討すると、進出後の現地ビジネスの展開とエンジニアの活動が、企業規模が小さくなると相関性を高める傾向があり、エンジニアの活動評価における新たな問題を見いだした。 こうしたヒアリング結果を踏まえるならば、今後、生産立ち上げの問題は、企業経営全体の戦略展開との関係を強めることを想定する必要がある。同時に生産立ち上げを進出後の経営展開全体との関係でも考察が求められ、エンジニアの行動も海外移転という視点のみならず経営展開との関係で検討を必要とする。とくに第2次メーカーなどの海外進出を念頭におくと、第2次メーカーの行動は、完成社メーカー、第1次メーカーのようには検討が進んでおらず、取引関係も含めて、どのような理論的検討の枠組みを準備し状況を整理するのか、これまでの先行研究との関係でも検討を要しよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
順調とはいえないが、対処は可能な状況である。理由は予定していたタイでの現地調査の対象工場の状況が変化し、タイでの調査遂行が難しい状況が生じた。そのためインドネシアでの調査で対応し、サンプルとケーススタディの収集を行なっている。また、あわせて日本本国でのヒアリング調査を進めることで、海外進出における生産準備や進出に当たっての経営的状況がどのように展開しているのか、調査を行ない、調査精度を高めるよう調査を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究年度の最終年度に当たり、遅れている海外調査をインドネシア、タイで進めるため現在調査環境と調査準備を進めている。今後の調査では、日本企業の備えている技術ノウハウの確保、育成における技術移転上での重視すべき項目の洗い出しを再度行い、最終年度内での研究課題の達成を目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度利用予定をしていたタイでの海外調査が先方の諸般の事情により取りやめとなった。そのため最終年度にむけて、現在再度調査依頼を進めている。
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