研究課題
令和1年度は、調査協力者の能楽師シテ方・囃子方の一門の責任者や責任者を補佐する立場の中堅の能楽師に、能楽の公演の形態や実施の実状と工夫、能楽師のキャリア上の課題やキャリア形成に大きな意味を持った出来事や経験についてインタビュー調査を実施した。調査の結果、能楽師はその技能発揮の経験を通じてキャリア形成を行っていること、特に中堅以上の能楽師は専門技能を磨くために自ら公演の機会を設定してことが明らかになった。師匠や家元といった同じ流儀内の縦のつながりだけではなく、専門分野を横断し能楽師が連携して公演を設定して、自らの技能育成のための機会を作っていることも明らかになった。特に中堅の能楽師にとっては、師匠から独立したあとより高いレベルを目指して技能発揮をするための機会を創出することは、キャリア形成を円滑に進めるために重要であることが分かった。また、専門とする技能以外についても、キャリア初期から師匠以外の各分野の技能レベルの高い専門職(重鎮や流儀や一門のトップなど)に学ぶ機会が設定されていることが分かった。内弟子と称される徒弟制度であっても、外部の専門職とのつながりを構築していることが分かった。また、各地域の若手育成の組織にも所属し、専門分野の異なる若手同士が学び合う機会があり、この場を通じてディベロップメンタルネットワークが構築されることが分かった。こうした専門分野以外の専門職とのつながりが、師匠から独立した以降の技能形成や、専門職の連携による公演の設定につながることも明らかになった。
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京都女子大学大学院現代社会研究科論集
巻: 14 ページ: 1-14
ICBEIT(INTERNATIONAL CONFERENCE ON BUSINESS, ECONOMICS AND INFORMATION TECHNOLOGY)2020 Conference Paper
巻: ― ページ: 101-111
AIMAC 2019 (15th International Conference on Arts and Cultural Management)プロシーディングペーパー
巻: ― ページ: ―